『新幹線開業』混迷の時代に新たな光 長崎県「100年に1度」の変革期

激動の2022年が終わる。県内では3年目のコロナ禍に加え物価高が市民生活を直撃した一方、悲願だった新幹線開業など地域浮揚に光が差した=30日午後5時1分、長崎市天神町

 3年目の新型コロナウイルス禍に加え、ウクライナ危機に伴う資源価格上昇や円安による物価高騰が市民生活を直撃した。先の見通せない混迷の時代に、県政の新たなかじ取り役が誕生。悲願だった新幹線が開業し地域浮揚に光が差した。県都長崎市を中心に「100年に1度」の変革期の真っただ中にある長崎県。激動の2022年が終わる。

 新型コロナは今年も猛威を振るった。感染力が強い変異株「オミクロン株」の流行で1月下旬には県全域が国の「まん延防止等重点措置」の適用対象に。夏には流行「第7波」が襲った。一方、重症化率の低下などを踏まえ国や県は「ウィズコロナ」にシフト。行動制限はなく、3年ぶりに開かれる行事が相次いだ。
 世界の核情勢や日本を取り巻く安全保障環境は緊迫の度を増した。2月にロシアがウクライナに軍事侵攻。北朝鮮のミサイル発射も相次いだ。6月にオーストリア・ウィーンで核兵器禁止条約の第1回締約国会議、8月には米ニューヨークの国連本部で核拡散防止条約(NPT)再検討会議が開かれ、長崎の被爆者や若者らが核廃絶を訴えた。
 社会に閉塞(へいそく)感が漂う中、2月の知事選では、新人の大石賢吾氏が3期目の現職中村法道氏に競り勝ち初当選。知事や参院議員などを務めた前農相の金子原二郎氏が政界を引退した。来年4月に任期満了を迎える長崎市の田上富久市長と佐世保市の朝長則男市長はいずれも今期限りでの退任を表明。世代交代の流れが加速する。
 今年9月には整備計画決定から約半世紀の歳月を経て、西九州新幹線(武雄温泉-長崎)が開業。残る新鳥栖-武雄温泉の整備方式はまだ決まっておらず「日本一短い新幹線」としての“発車”となった。
 スポーツ界では日本体操界をけん引してきた諫早市出身の内村航平選手が現役を引退。サッカー・ワールドカップ(W杯)では、長崎市出身の森保一監督と吉田麻也主将率いる日本代表が優勝経験のあるドイツとスペインを1次リーグで下し、日本中に感動と勇気を与えた。
 県が佐世保市への誘致を目指す、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の整備計画は国の認定判断が来年に持ち越しに。4年に1度の統一地方選を来春に控え、5月には広島での先進7カ国首脳会議(G7サミット)に先立ち、長崎市で保健相会合も予定される。変化の時代に対応したまちづくりの在り方が問われる1年となる。


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