長崎県内官公庁で仕事納め式 知事「新幹線効果を最大限に」/長崎市長「進化の流れ、さらに強く」

新型コロナウイルス感染対策で出席者を限定した県の仕事納め式=県議会議場

 長崎県内の官公庁で28日、仕事納め式があり、知事や各自治体の首長らは今年の情勢や取り組みを振り返り、教訓や課題に言及しながら2023年の展望と意気込みを語った。

 県の仕事納め式は県議会議場で開かれた。新型コロナウイルスの感染対策で昨年同様、出席人数を限定し、大石賢吾知事が職員約100人を前にあいさつした。
 大石知事は9月に開業した西九州新幹線について「悲願だった」と喜び、「今後、効果を最大限に高め県内全体に広げていくことが重要」と述べた。8月に本県知事として初めて核拡散防止条約(NPT)再検討会議のため渡米したことも振り返り、「今回得たネットワークを活用し、1日も早い核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に向け、これまで以上に平和の発信に力を注ぐ」と決意を語った。
 サッカーワールドカップ(W杯)カタール大会で本県出身の森保一監督や吉田麻也主将ら日本代表が決勝トーナメント進出するなど、文化・スポーツ分野の活躍もたたえた。新型コロナウイルスについては、年末年始の拡大や季節性インフルエンザとの同時流行も危惧されていることに触れ「引き続き職員の協力をお願いする」と呼びかけた。

 田上富久長崎市長 西九州新幹線の開業をはじめ、長年取り組んできたまちづくりがよりいっそう目に見える形で進んだ。時代の変化を見据えた進化に全部局で挑戦した1年だった。来年は新市庁舎での仕事が始まる。進化の流れをさらに力強いものにしよう。

 朝長則男佐世保市長 市制施行120周年の節目を迎えた。国にIR区域整備計画の認定申請を終えた。活性化に向け、成功させたい。時代が進む中、何事にもチャレンジ、チェンジ、コミュニケーションの「3C」を心に留め、実践に力を入れてほしい。

 古川隆三郎島原市長 今年は新型コロナ流行以来、にぎわい創出・活性化につながる久しぶりの大きなイベント「島原城大手門市」を初開催できた。今後も、築城400年を迎える島原城、島原半島ジオパークなど観光資源を有効活用し交流人口増加に努めていく。

 大久保潔重諫早市長 (市長選の)公約に掲げていたことが少しずつだが、市民にお示しできた1年ではなかったかと思う。50年来の夢だった西九州新幹線が開業した。感慨無量。ぜひ、この開業効果を生かしながら、諫早が盛り上がるように頑張っていきたい。

 園田裕史大村市長 今年を漢字で表すなら「初」。新幹線開業や大村ボートでのグランプリ開催、黒丸・沖田踊の(ユネスコ)無形文化遺産登録など初めてのことが多かった。人口増が続き、高速交通三種の神器を手にした大村がどんな町になるか注目されている。

 黒田成彦平戸市長 人口減少の解決策は簡単には見いだせない。交流人口や関係人口を拡大し、市民の所得増や幸福度向上に取り組むことが、持続可能な社会の構築であると確信する。新年度からの総合計画後期計画に向け、職員にはさらなる努力精進を期待する。

 友田吉泰松浦市長 今年は市内から多くの小中高生がスポーツなどの全国大会に出場するなど目覚ましい活躍が見られたほか、元寇船の木製いかり引き揚げも大々的に報じられた。一方で、職員の不祥事も判明。職員には再発防止と法令順守の徹底をお願いする。

 比田勝尚喜対馬市長 今年は対馬博物館の開館や、「対馬の盆踊」を含む「風流踊(ふりゅうおどり)」のユネスコ無形文化遺産登録など喜ばしいニュースがあった。登録を励みに、保存継承に向け、諸課題の改善や子どもへの普及啓発などの取り組みをさらに推進していく。

 白川博一壱岐市長 民間のフグ養殖場で実施するRE水素システムの実証試験の開始など、SDGsをはじめ取り組んできた施策が形となって表れてきている。DX推進並びに職員力の結集により、取り組みを加速させ、本市のさらなる振興発展につなげていきたい。

 野口市太郎五島市長 ホテルの相次ぐ開業や浮体式洋上風力発電施設の設置など、五島市には追い風が吹いているが、これは職員が市民と一緒になって取り組んできた結果。この風を来年も生かしながら、新型コロナ禍からのV字回復を確かなものにしていきたい。

 杉澤泰彦西海市長 常にコロナ感染症の状況を考慮しながら、その対策や災害対策、各種事業を推し進めた1年。皆さんが力と知恵を合わせ、大きな実績を作ってくれた。感謝している。一方、市民の信頼を失墜させる問題もあった。教訓として受け止めてほしい。

 金澤秀三郎雲仙市長 新型コロナの長期化、世界的物価高騰による経済や市民生活への影響など大変厳しい状況。市の発展は目の前の課題と一つずつ向き合い、効果的な事業を展開し続けるしか道はない。全庁一丸で挑むため、職員には引き続き尽力をお願いする。

 松本政博南島原市長 農地の基盤整備を目的とした県内最大規模の「南島原土地改良区」が誕生するなどコロナ禍でも充実した1年だった。変化が激しく、複雑化する社会。臨機応変な対応が求められる。担当分野をどう展開していくか、ビジョンを持ってほしい。


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