「強みを生かすリーダーに」V・ファーレン長崎 DF米田 右SBで10アシスト目標

 サッカーJ2、V・ファーレン長崎のDF米田隼也(27)が、2018年に大卒ルーキーとして加入して6年目を迎える。加入当初はベンチを温める日が多かったが、常に自身の課題と向き合う真摯(しんし)な姿勢で定位置を獲得。副主将を任された昨季は34試合に出場し、自己最多の4得点を挙げた。成長を続ける生え抜き選手は「強みを生かしつつ、チームのために弱さもさらけ出せるようなリーダーシップを発揮したい」と新年の抱負を語った。以下、一問一答。

2023年は「チームを引っ張り数字にこだわっていきたい」と意気込む米田=諫早市サッカー場

 -長崎でキャリアをスタートさせて6年目。成長を感じる部分は。
 昨年は特にメンタル面で成長できたと思っている。順大の先輩からの紹介で出会った人と話しているうちに目標設定や自分の在り方を見つめ直した。その中で「勇気とは挑戦の回数」という言葉と出合い、殻を破れた。それがプレー面にもいい影響を与えている。

 -V長崎に加入したきっかけは。
 現テクニカルダイレクターの竹村栄哉さんのおかげ。大学4年のときに総理大臣杯2回戦で(のちにV長崎でチームメートになった)本多琢人や鹿山拓真がいる東海学園大戦を見て、声をかけてくれた。その後、Jの複数クラブの練習に参加して、最終的にJ1へ昇格したことと(当時のV長崎社長)髙田明さんに魅力を感じて加入を決めた。

 -昨季は中堅として副主将も担った。
 若手のマネジメントやモチベーションを上げることを意識した。V長崎の若手は野望を持っている選手が多い。変わっていきそうだなと思うのはMF五月田星矢。自信を持ってプレーするようになった。やんちゃさを出していけば“自分の色”を出せると思う。先輩を見るとFW都倉賢さんはチームのことを考え、言葉を選んでいる。自分のことだけでなく、観察しながらプレーしている。

 -記憶に残った試合は。
 ともに自身がゴールしたホーム町田戦とアウェー琉球戦。町田戦は、けがから復帰した直後でシーズン初ゴール。自信が持てた。琉球戦は、後半ロスタイムにゴールへの嗅覚が働いて決められた。ただ、ホームで長く勝てなかった。こういう経験は初めてでサポーターに申し訳ない気持ち。ありきたりな言葉かもしれないが、チームが一つになれず昇格を逃した悔しさが残った。

昨季のホーム町田戦でゴールを決めて喜ぶ米田(中央)。主力として活躍した=諫早市、トランスコスモススタジアム長崎

 -主力として左右のMF、DFをこなし、ユーティリティー性を発揮している。
 試合ごとにポジションが違うということは普通に考えると難しいことで、よくやれたなと思う。どの位置でもクオリティーを落とさずにできた感覚はある。サイドバック(SB)で起用され始めたときは複雑だった。本来の左サイドハーフで見られていないんだなと。やっているうちに、自分次第ではどんどん攻められる。前向きでボールを受けられる部分に楽しさを感じた。

 -どこに課題を持ち、将来を見据えているか。その一歩として今年取り組むことは。
 ピッチでは圧倒的な数字にこだわっていきたい。シーズン中からカリーレ監督から右サイドバックで勝負させたいと言われていた。その位置で成長させて、日本代表を狙えるように育てたいと言ってくれた。10アシストを目指す。そのためにはメンタル、キックスキル、フィジカルの向上が不可欠。

 -今の夢は。
 全日本大学選抜で一緒にプレーしていた三笘薫(ブライトン)や守田英正(スポルティング)がワールドカップ(W杯)で活躍しているのを見て「何でここを目指さなかったんだろう」と悔やんだ。26年のW杯で日本代表に選ばれて活躍するための戦いは始まっている。

 -サッカー選手として大事にしていることは。
 「エンターテイナー」。プロは結果を出さないといけないという感覚は全てが正解とは思っていない。たとえ負けていてもワンプレーでファン、サポーターを震わせ、感動させないといけない。それがプロの定義だと思う。

 -これからプロを目指す子どもたちへ。
 大きな夢を持つこと。あとは、自分で考えてプレーし、努力すること。自分に何が足りないのかを見つけてほしい。これからは個のレベル向上が大事になる。

 【略歴】よねだ・しゅんや 1995年11月5日、北九州市出身。兄の影響でサッカーを始め、高校は静岡学園に進んだ。1年時からレギュラーをつかみ、2011年北東北インターハイ準優勝に貢献。順大に進学し、全日本大学選抜に選出された。18年にV長崎入り。今年で6年目を迎える。発酵食品ソムリエ資格や中学、高校の保健体育の教員免許を持つ。174センチ、70キロ。


© 株式会社長崎新聞社