新幹線安全運行に絶対欠かせない…信号設備の工事現場 2024年春開業へ福井県内で整備進む

車両の位置を把握するための信号設備工事を行う作業員=福井県福井市豊島1丁目付近

 新幹線の衝突を防ぎ、安全で効率的な運行に欠かせないのが「信号設備」だ。鉄道建設・運輸施設整備支援機構福井鉄道電気建設所の中野盛人所長は「信号の送受信によって、前方の列車位置の検知や、停止すべき場所の伝達を行っている」と説明する。

 新幹線はブレーキをかけてから止まるまでに長い距離が必要で、前方の列車が見えてからブレーキをかけても間に合わない。このため前方に車両があるかどうか、レールを利用した「軌道回路」と呼ばれる装置で検知する。

 具体的にはレールを一定区間ごとに区切り、軌道回路を設置。検知した信号を後方車両が受信して車内モニターで運転士に伝達し、1区間に2列車以上を進入させないようにする。

 2022年11月下旬、北陸新幹線福井駅付近の足羽川橋りょうで、軌道回路を設置する工事が行われた。宮城県の専門業者のベテラン作業員らが、レールが損傷しないように、低温でケーブルの溶接などを行った。

 中野所長は「軌道回路が不良を起こすと、運行にも支障が出る。どの工事も大事だが、特に信号の工事は安全な運行に直結する。溶接の温度まで厳密な管理が必要」。今後は県内開業に向けて走行試験などを行い、性能を確認していく。

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 北陸新幹線金沢―敦賀間(約125キロ)はレール敷設が完了し、現在は設備や電気工事のまっただ中。24年春の開業に向けて順調に整備が進む「現場」を訪ねた。

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