国見、青森山田に惜敗 新旧王者対決で鮮烈な印象 全国高校サッカー

【3回戦、青森山田―国見】後半27分、国見のFW利根(右端)が同点弾を決める=等々力陸上競技場

 第101回全国高校サッカー選手権第4日は2日、川崎市の等々力陸上競技場などで3回戦8試合が行われ、長崎県代表の国見は前回覇者の青森山田に1-1からのPK戦2-4で敗れ、4強入りした2004年度以来18大会ぶりの準々決勝進出はならなかった。
 国見は前半ロスタイム、CKを頭で決められて先制を許した。後半27分、DF村田の変化をつけたスローインからDF和田がゴール前に送り、これをFW利根が左足で合わせて同点。エースストライカーの今大会2点目で3試合連続のPK戦に持ち込んだが、青森山田の長身GK鈴木に2人目と4人目を止められた。
 青森山田のほか、インターハイ王者の前橋育英(群馬)は2-1で昌平(埼玉)を下して8強入り。日体大柏(千葉)は飯塚(福岡)との初出場対決を1-0で制した。大津(熊本)は日本文理(新潟)に3-0、東山(京都)は2-0で高川学園(山口)に快勝。佐野日大(栃木)、神村学園(鹿児島)、岡山学芸館はPK戦で勝ち進んだ。
 第5日は4日、首都圏2会場で準々決勝の青森山田-神村学園、佐野日大-岡山学芸館、東山-日体大柏、前橋育英-大津を実施する。

◎利根同点弾 3試合連続PK戦に

 3試合連続のPK戦。青森山田の4人目がゴールネットを揺らすと、国見イレブンはピッチに顔をうずめて泣きじゃくった。程なく、大観衆から惜しみない拍手が注がれる。12大会ぶりの選手権で力闘を続けた名門は、鮮烈なインパクトを残して大会を去った。
 3回戦にしてチケット完売。直近4大会すべてで決勝に進んでいる青森山田と、戦後最多タイ6度の優勝を誇る国見の新旧王者対決は、期待にたがわぬ大熱戦となった。
 青森山田がセットプレーで先制すれば、国見もエースストライカー利根の一発で終盤に追いつく意地を見せる。準々決勝には前回王者が進んだが、最後まで番狂わせを予感させた。
 国見にとっては、実に収穫の多い冬となった。「新しい国見を見せる」と意気込み、磨いてきた華麗な崩しでゴールを奪った。苦手意識のあったPK戦で連勝。試合のたびに成長し、地力でかなわない相手にはしぶとく組織で守り勝つ新たな顔も見せた。選手権で無類の強さを発揮してきた国見の名に恥じない、堂々たる戦いぶりだった。
 「本気で勝とうとしていたんです。だから今、ロッカールームでみんな泣いてます」。青森山田に敗れた後、ミックスゾーンに現れた木藤監督が静かに打ち明けた。全国で味わった悔しさと、手にした自信。両方を忘れずに、国見は再び強豪への階段を上っていく。


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