米紙「キオクシアとWDの合併交渉が再開」 韓国SK副会長「容易ではないだろう」

5日、ブルームバーグ通信は「ウェスタンデジタル(WD)がキオクシアと合併議論を再開した」と消息筋を引用して報じた。(※ブルームバーグ当該記事URL:https://www.bloomberg.com/news/articles/2023-01-04/western-digital-kioxia-are-said-to-revive-merger-talks)

(参考記事:「サムスンがNAND価格を値上げ 中国YMTC脱落による供給不足受け」台湾紙報じる

米国WDは去る2021年にもキオクシアと買収合併交渉を行ったことがあるが結論を出せなかった。 しかし昨年下半期からNANDフラッシュメモリの供給過剰でメーカーが赤字転換すると合併議論が再び浮上したと見られる。ブルームバーグによると、交渉は昨年末に再始動したとのこと。

実現可能性は未知数だ。ブルームバーグは「現在の議論は初期段階であり、合意なく終わることもあると消息筋は伝えた」と明らかにした。

また、合併が成就しても各国の規制当局の審査を経なければならず、ハードルは高い見通しだ。業界では米中半導体覇権競争の中で中国当局が許可しない可能性が大きいと見ている。

世界最大の半導体機器メーカーである米国アプライドマテリアルズ(AMAT)は、日本の半導体企業のKOKUSAI ELECTRICとのM&Aを推進したが2021年3月に放棄した。 米国通信半導体企業クアルコムも2018年オランダ半導体会社をNXP買収しようと取り消した。中国当局のM&A審査遅延が主な原因となっている。 SKハイニックスもインテルNAND事業部(現ソリダイム)M&Aの事業買収の承認を受けるまで1年かかった。

一方で、キオクシアとWDの合併が成功すれば、韓国の半導体産業には脅威になるとの見方も出ている。同国の通信社ニューシスは、キオクシアのシェア(昨年第3四半期売上基準/トレンドフォース)がサムスン電子(31.4%)に続き2位(20.6%)につけていることから、「WDがキオクシアを買収すると、合併会社の単純合算シェアは12.6%から33.2%に大きくなる。3位SKハイニックス(18.5%・ソリダイム含む)を抜くことはもちろん、業界1位に狙えるようになる」と伝えた。

一方、SKハイニックスのパク・ジョンホ副会長は5日(現地時間)、米国ラスベガスで開かれた「CES 2023」において、この件に対する記者団の質問に対し「(合併は)容易ではないだろう」 と答えたと韓国各紙が一斉に報じた。

パク副会長は「日本政府がそう簡単に許可しないだろうとみている」とし、「SKハイニックスが(キオクシアに)投資したことについても日本政府がどのようなポジションを定めるかが今年のポイントになる」と述べた。SKハイニックスは2018年キオクシアに4兆ウォンを投資したことがある。

パク副会長はさらに、「普通株に転換すれば(当社が)ほぼ40%近くになる株主」であるとし、「日本政府がWDやSKハイニックス(を選択するのか)、それともキオクシア単独で行くシナリオのどれを選ぶかが今年の重要なポイント」であると付け加えた。(パク副会長の当該発言:https://news.einfomax.co.kr/news/articleView.html?idxno=4249514)

※写真:キオクシアHP

(参考記事:韓国SKがNANDメモリ市場で世界2位に、日本のキオクシアを抜く 韓国勢で世界過半占める
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