「一丸の組織 勝てること証明」 凱旋の学芸館・高原監督に聞く

高原良明監督

 サッカーの第101回全国高校選手権で岡山県勢初の優勝を果たした学芸館。東山(京都)との決勝から一夜明けた10日、選手とともに帰岡した高原良明監督(43)に現在の心境や勝因、今後の目標などを聞いた。

 ―創部25年目の節目に偉業を達成した。

 「岡山駅や学校で多くの人に祝福され、優勝の実感がわいてきた。これまで悔し涙を流してきたOBたちも誇りに思ってくれるようなサッカーができた」

 ―大会では、PK戦2試合を含め紙一重の勝負をしぶとくものにした。

 「攻守の切り替えの速さと全員のハードワークというチームの土台はどこにも負けていなかった。(プロ入りするような)傑出したタレントがいなくても、チーム一丸の強固な組織で戦えば全国で勝ち上がれることを証明できた」

 ―ターニングポイントとなった試合は。

 「攻撃面でいえば2回戦の鹿島学園(茨城)戦。複数の選手が連係したパス回しからネットを揺らした決勝点はチームが理想とする形だった。守りでは攻撃力の高い国学院久我山(東京A)を無失点に封じた3回戦だ。勝ち上がるごとに自信を深め、たくましくなっていく選手の姿に、高校生が持つ大きな可能性を実感した」

 ―3年生は入学時から新型コロナウイルス禍の直撃を受けた世代だ。

 「満足に練習ができない期間もあったが、全国ベスト4という目標は揺るがず、努力を重ねてくれた。最後に国立競技場で5万人以上の観客が詰めかけ、ブラスバンドや応援団の後押しを受けるという素晴らしい環境で戦えたことは一生の思い出になるはずだ」

 ―休む間もなく新チームが始動する。GK平塚、FW田辺ら2年生の主力も残る。

 「次の目標は選手たちが決めるが、小さくまとまってほしくはない。連覇を目指すつもりで選手と向き合っていく。個人としては優勝を励みに、日本代表に羽ばたくような選手を育てていきたい」

 たかはら・よしあき 福岡県生まれ。東海大五(現東海大福岡)高でボランチ、センターバックとして活躍し、東海大、民間企業を経て2003年から学芸館高サッカー部コーチ。県リーグや中国リーグ時代のファジアーノ岡山でもプレーした。08年に監督となり、12年にチーム初の全国大会となるインターハイ切符を獲得。冬の全国高校選手権は16年度大会を皮切りに今回を含め5度、インターハイは6度出場。保健体育教諭。岡山市在住。

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