「静岡市には甘えの構造がある」川勝静岡県知事 市長交代で“不協和音”は解消されるのか【新春知事対談③】

静岡県の川勝平太知事に聞く新春知事対談。3回目は「県と2つの政令市」がテーマです。2023年春に新たな市長が誕生する浜松市と静岡市との関係はどう変わっていくのか、SBS滝澤悠希キャスターが聞きました。

滝澤;静岡市と浜松市のトップが今期限りで退任する。県と政令市の関係も変わるか。

川勝;いや、それほどでもないでしょう。基本的に政令市は基礎自治体で一番力を持っているので、基礎自治体の自立性を尊重するのは一貫している。それでうまくいってきたのが浜松市との関係だったと思う。浜松市は行政区を再編して3つにするという大変な決断をしたので、今度、市長が誰になってもこの流れは変えることはできないので、鈴木康友市長の行政を引き継いでいかれればいい。

滝澤;政令市と県との関係はどのような形が望ましいか。

川勝;特別自治市にすぐになれるところと、政令市としての資格が疑われるところがある。一番人口が多いのは横浜市で、港があって企業があって、県がいらないくらいで、特別自治市として自立できる。ところが、静岡市は人口が67~68万で一番少ない。面積は浜松市に次いで2番目に広いけど、特別自治市として自立できるかというと夢のまた夢。

私の見た感じでは県庁所在地として、いろいろな県の施設があるわけで、浜松市と比べてもだいぶ違っていて恵まれている。だから、甘えの構造があって。県がやってくれるということで、静岡市議会も、静岡市長も、静岡市当局も、浜松市ほど自立しているとはみえないので、ここは、今度の市長の腕の見せ所とだと思う。

(次期市長選への出馬を表明した)2人のうち、山田誠さんは祖父が山田順策さんといって、駿府城公園内に胸像があるくらい立派な市長だったし、元副知事の難波さんは運輸省の技術官僚として仕事人。(祖父の)山田順策さんのように、山田誠さんが政策を出して、仕事人の難波さんが「自分の仕事はこういうことをする」と出されて、静岡市に新しい風を吹き込むことになれば政策論争が非常に楽しみ。

滝澤;難波さんは自民党の推薦を得るなど、川勝知事とはスタイルが違う気もするが。

川勝;山田さんも、難波さんもそれぞれ自分の意見をもっていて、それがいいと思っているので、仕事を一緒にするときは議論した上で、こういう方針で行くというときはそれで行く。かといって、全員が同じ意見だとは思っていないし、それを戦わせるのがいい。難波さんは自分の考えを持っている仕事人と評価している。

滝澤;新しい市長の誕生で静岡市との関係は改善されるか。

川勝;任せて安心という人になってほしい。今の市長と前の市長のスタンスが似ている気がする。甘えの構造があるというか、全面的に任せていいと思った人ではなかった。

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