日本では先日まで高校生たちによる全国高校サッカー選手権大会の熱戦が行われた。
ここでは、『fourfourtwo』が選んだ「世界で最も期待される若手50人」のトップ10を見てみよう。
10位 カーニー・チュクエメカ
チェルシー、19歳、イングランド
昨年のU-19欧州選手権で優勝したイングランド代表における紛れもないスターであるチュクエメカ。
彼はチェルシーが買う典型的なタイプではないが、時代は変わりつつある。彼こそが今のイングランドが生み出す中盤の姿といえる。
ポゼッションに優れ、中央での爆発力、ポール・ポグバのような筋肉質なストライドを持つチュクウェメカは、ブルースのベンチをずっと温めているにはあまりに勿体ない。
世界最高の“8番”になりえるオールラウンドなミッドフィルダーであり、グラハム・ポッター監督は、彼の成長を見守ることができるはずだ。
昨夏、アストン・ヴィラから移籍してきた彼に、目を見張った者はほとんどいなかった。彼は長期的に最高の獲得になることができるだろうか。
9位 ハーヴィー・エリオット
リヴァプール、19歳、イングランド
彼がプレミアリーグ史上最年少出場選手となってからの3年間は、まさに怒濤のような日々だった。
リヴァプールへの移籍、ブラックバーンへのローン、そしてユルゲン・クロップ監督のもとでのミッドフィルダーへのコンバート。重傷を負いながらも想定よりも早く復帰し、今ではレッズに欠かせない存在となっている。
その若さにもかかわらず、バランス、創造性、ポジショニングセンスは素晴らしく、態度とメンタルもそれに見合うものを兼ね備えている。
獰猛さもありながら、サッカーIQも非常に高い。プレスに対する耐久力があり、どんな角度でボールを受けても機能する。この先、どのように進化していくのかが楽しみだ。
8位 アレハンドロ・ガルナチョ
マンチェスター・ユナイテッド、18歳、アルゼンチン
彼はアカデミーから多くの選手を輩出してきたユナイテッドの生きた証拠だ。
興味深い才能の数々を持っている。
遅れてやってきて、どうしても必要なときに、強烈なシュートを放つ勝負強さ、スペースを見つけるための激しい動き、パスビジョン、ダッシュでの打開力。中央でもサイドでもドリブルできるし、ボールをリサイクルしたり、相手の急所を突くタイミングも心得ている。
CR7はもう過去であり、AG49はその一翼を担う準備がほぼ整っている。彼がこの調子でいければ、アンストッパブルな存在になるだろう。
7位 ロメオ・ラヴィア
サウサンプトン、18歳、ベルギー
マンチェスター・シティが買い戻し条項をつけずに彼を手放したとすれば、それはこれまでで最も馬鹿げたビジネスかもしれない。
なぜなら、彼の総合的な能力はカルヴィン・フィリップスは言うまでもなく、ロドリともそれほど離れていないからだ。
18歳にしては、とにかく信じられない。パスレンジは異次元で、プレッシングも簡単に回避できる。ドリブルも素晴らしく、この年齢と体格の守備的MFにはありえないボールコントロール力を持つ。
さらに、チェルシー戦で見せつけたようにシュート力まで完備している(以下動画50秒から)。
そのため、チェルシーは移籍期限最終日に獲得オファーを提示したほど。世間はチェルシーが狂ったと思ったが、知っている人たちは素晴らしいビジネスになるであろうことが分かっていた。
ラヴィアはすでにスーパースターだ。
6位 ユスファ・ムココ
ドルトムント、18歳、ドイツ
彼は早熟だが、W杯で歯抜け状態だったドイツ代表の攻撃陣を見る限り、彼の開花が必要なのだろう。
ムココの一貫性は、この若さの選手としては最も驚くべきだ。すでにドルトムントでは注目されており、予測不可能なプレーを繰り出すが、チームメイトたちは彼から得られるものを分かっている。
不可能なシュート角度がないため、どこでボールを受けても仕事をする。小柄な南米選手のような頑丈さもある。
まともなストライカーを生み出せていないドイツにとっては朗報だ。彼らは世界最高のひとりを手にするかもしれないのだから。
5位 エンドリッキ
パウメイラス、16歳、ブラジル(2024年にレアル・マドリーに加入)
パウメイラスのユースで169試合で165ゴールを記録。列強クラブが争奪戦を展開したのも当然だろう。
彼が生まれながらに持っているものを教えることはできない。そのパワーはおそろしく、ユースレベルでは手に負えない。
南米はルイス・スアレスやセルヒオ・アグエロのような爆発力のある9番を生み出してきたが、ブラジルはそれに匹敵する存在を手に入れようとしている。
彼アh足の速さだけでなく、電光石火のリアクションで、あらゆるタイプのゴールを決めてきた。
ヴィニシウス・ジュニオールやレイニエルらに続き、レアル・マドリーが5000万ポンド(80億円)もの移籍金ですでに確保している。
4位 ガビ
バルセロナ、18歳、スペイン
史上最年少でスペイン代表にデビューした彼は、9番を背負って中盤を支配した。別格の存在だ。
ペドリが中盤で一時代を築くように思えたが、そのわずか数カ月後にガビがラ・マシアから登場。その若さで完璧なまでにバルサ育ちの選手として完成されていた。これはバルサが誇る有名な育成組織(ラ・マシア)でサッカー哲学が浸透していることの証明である。
中盤での粘り強さがあるため、キャリアのある時点でより深いポジションで使われる可能性もあるはず。
彼の最終形態はまだ見えていない。ガビはバルセロナの中盤の改革に貢献することができるだろうか。
3位 ベンヤミン・シェシュコ
レッドブル・ザルツブルク、19歳、スロベニア(2023年夏にRBライプツィヒへ移籍)
アーリング・ハーランドと比較されるのも当然だ。195cmの長身ながら、DFを切り裂くスピードがあり、両足が使えてパワフル。ただ、この新しいFWには、逆転現象の側面もある。
リヴァプールとマンチェスター・シティがより伝統的な9番に回帰するなか、シェシュコがオールドスクールなタイプとして台頭してきたのは魅力的だ。
サイドにはあまり流れないが、スペースに走り込み、コンビネーションを展開し、ゴール前でロボットのような効率性を提供する。
昨夏にはマンチェスター・ユナイテッドが興味を示した。また、この2年間はサッカーゲーム『Football Manager』のほぼ全ユーザーがゲーム内で彼と契約したはずだ。
今夏のライプツィヒ移籍が決定済み。彼はそのフィニッシュ力でロベルト・レヴァンドフスキがいないブンデスリーガを席巻しうる。ライプツィヒでの成功は約束されている。
2位 ジャマール・ムシアラ
バイエルン・ミュンヘン、19歳、ドイツ
「彼のタックルや1対1での技術は傑出している。このチームに才能があるし、我々は正しい方向に向かっている」。昨年のW杯でドイツが早期敗退した後、ハンジ・フリック監督は、歯を食いしばるようにしてこう言った。
ムシアラは、シュトゥットガルト生まれの少年としてのポジション感覚と動き、そして、ロンドンのストリートで磨かれた表現力を持っている。
チームメイトのために中盤のスペースを突いたり、スルーパスを出したり、どこからでも危険な選手だ。
まだ完全には完成していないのも非常に興味深い。中盤でゲームを進めつつ、10番としてプレーしながら、両サイドから実行する。
偽9番として生まれ変わることも不可能ではないだろう。彼は予想外のことができる。
1位 ジュード・ベリンガム
ドルトムント、19歳、イングランド
我々は彼を見たことがあるし、彼のやること、彼が持っているもの全ても知っている。
ベリンガムを別格にしているのはそのメンタリティだ。
W杯でハリー・ケインがPKを失敗した後、真っ先に駆け寄ったのは彼だった。そして、ケインの将来についての疑問も一蹴した。
最高レベルの試合で輝きを放つことができる一貫性。かき乱された時に見せる鋭さと、それをよい方向に導く術。
2020年末のインタビューで彼はこう述べた。「バーミンガムを去る決断を下した時、唯一悩んだのはサッカーをすること。ドルトムントはそれをするのに最適な場所だった。ここにきて正しいことをすれば、チャンスが得られるのは間違いなかった」。
正直、彼と話していると、10歳以上も年下であることを忘れてしまうことさえあった。
彼のプレーを見ても、年齢のことを忘れてしまう。いまでさえ、世界最高のMFのひとりといえるかもしれない。さらに、末恐ろしいことに、彼のピークは2030年かもしれない。