レコード人気が再燃、1300枚所有する高校生も 「歌声に近い」「ジャケットも魅力的」若者や女性ファン急増

約5万点の中古レコードを扱うフラミンゴレコーズ。近年は若者や女性の来店もあるという=福井県福井市羽水2丁目
「流行当時と同じ音で音楽が聴きたい」とレコードを収集する森野巧巳さん。部屋には約1300枚のレコードがずらり=福井県敦賀市

 アナログレコードの人気が再燃し、全国的に売り上げが伸びている。「当時の音で曲を聴きたい」「ジャケットが魅力的」などを理由に福井県内でも愛好家が増えているようだ。新盤をリリースするアーティストもいて、若者には音楽を聴く「新たな手段」として映っているとの声も。初めての人も、久々の人も、休日にはぬくもりを感じる音とノスタルジックな雰囲気を楽しんでみては。針を落としたときの「プチプチッ」っていうあの音、たまりませんよね。

「昭和にタイムスリップ」

 「流行当時と同じ音を聞きたくて」。高校1年生の森野巧巳さん(敦賀市)は、3年ほど前からレコードにどはまり。今ではシングル盤を中心に約1300枚を所有し、整然と並ぶジャケットが部屋を占領している。

 きっかけは、テレビで耳にした美空ひばりの「愛燦燦」。最近の曲とは印象の違うメロディーに引かれ、ユーチューブで検索してみた。発売当時はレコードでリリースされたことを知り、興味を持ったという。

 初めてレコードで聴いたのは、自宅にあったピンク・レディーの「渚のシンドバッド」。祖父に、ほこりを被っていたプレーヤーを手入れしてもらい再生すると「昭和の時代にタイムスリップしたような感覚。歌っている情景が浮かんできた」とうっとり語る。

 森野さんは「ジャケットがまたいいんです」と熱弁。個性が感じられるタイトルの字体や写真に「レコード会社ごとのこだわりを感じる」そうだ。眺めるだけでも楽しく、“ジャケ買い”することもあるという。

⇒約1300枚のレコードがずらりと並ぶ森野巧巳さんの部屋

アナログレコードの生産数は10年で4倍

 中古レコードを扱う福井市羽水2丁目のフラミンゴレコーズ。店内には約5万点のレコードが所狭しと並ぶ。「ここ1、2年は若い人や女性客が増えている」と店主の中野秀彦さん。一緒に商品を選ぶ親子もいて「ブームによってレコードを知らなかった若い世代にも、音楽を聴く新たな手段として定着してきた」と感じている。

 日本レコード協会によると、アナログレコードの生産数はここ10年で約4倍となり、2021年には約190万7千枚を記録。新曲をレコードでも発売するアーティストが増え、東京ではCDチェーン店「タワーレコード」がレコード専門フロアをオープンさせるなど「大手のセールス策がはまった」ことも人気拡大の要因と分析する。

 中野さんによると、CDなどのデジタル音源ではカットされてしまう不要な音(周波数)も収録されるため、聞き比べると音の違いは明らかという。「楽器の音はデジタルのほうがクリアに聞こえるかもしれないが、歌声はレコードのほうが生に近い」

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