海岸埋め尽くす「ホシフグ」の死骸の謎…福井県に大量漂着 回収追われる自治体、定置網漁にも影響

ホシフグの死骸が大量に打ち上がった海岸。多くは腐敗し白色の帯のように見える=1月10日、福井県小浜市志積(市提供)

 福井県の嶺南の海岸を中心に今冬、ホシフグの死骸が大量に漂着している。地元漁師らによると、これまでに例がない規模で、原因は不明。自治体が回収に追われているほか、定置網漁にも影響が出ている。

 ホシフグは青森県以南の水深100~400メートルに生息し、黒っぽい体に白い斑点があるのが特徴。毒があり、食用にできない。死骸の漂着は日本海側の山形県や新潟県などでも確認されている。

 嶺南では年明け以降に目立ち始めた。小浜市は業者に委託し回収、処分を進め、1月17日には同市志積で約1.8トンが回収された。同市矢代でも13日に約680キロを回収したが、再び漂着し、腐敗臭が漂っているという。高浜町では白浜海水浴場付近で13日に100~200キロを回収。同町鳥居浜、城山海水浴場付近にも漂着しているほか、美浜、若狭町の海岸でも少数ながら確認されている。

 漁業にも影響が出ており、福井県水産課によると、おおい町を除く嶺南5市町と越前町の定置網に入っているのが確認された。

 小浜市漁協の浦谷俊晴組合長の定置網(同市宇久沖約3キロ地点)では1月4日、15センチほどのホシフグが20~30トン入っていた。その後は減少したが、現在も数トン入る状況が続き、「これほど多く入ったことは今までなかった」と話す。ホシフグを逃がす際にブリやスズキなども一緒に逃げたり、ホシフグのイボで他の魚や網が傷ついたりして約50万円の損害が出たという。

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 1月中旬まで漁を行っていた越前町米ノの定置網では、昨年10月からホシフグが大量に入り、ブリやハマチなど他の魚が取れづらくなった。潮の流れなど他の要因も重なり、昨年10月以降の漁獲量は昨シーズンに比べ約3割減ったという。

 越前松島水族館(坂井市)によると、嶺南の定置網に30センチほどのホシフグが数十匹入ることはあるが、「今回は小型で、数が圧倒的に多いことが大きな違い」としている。

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