福井県ってどこ?…信越・北関東の人2割が知らず 「北陸はどの県も同じ」新幹線延伸にも関心薄く

【グラフィックレコード】福井といえば
福井と聞いて思い付くものは?/福井の「自慢」意外と知られてない!?

 福井県の都道府県別魅力度ランキングは37位―。民間シンクタンク「ブランド総合研究所」(東京)が発表した2022年の順位で福井県は20年の44位、21年の39位からじわりと順位を上げたものの、同じ北陸の石川10位、富山23位には水をあけられたままだ。

 幸福度日本一、子どもたちの学力、体力全国トップ級といった誇れる指標もある。24年春の北陸新幹線福井県内開業まで1年余りとなった今、あえて“マイナー県”の立ち位置から目をそらさず、古里福井の強みと弱みを再認識するところから新しい一歩を踏み出せないか。新幹線がやってくれば、それだけで魅力度がジャンプアップすることはおそらく、ない。

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 22年末、北陸新幹線沿線の新潟、長野、群馬、埼玉各県で取材した福井新聞記者3人が、現地で計57人に福井の印象を尋ねるアンケートを行った。代表的な観光地、グルメなど23項目のうち、知名度が5割を超えたのは「越前がに」(88%)「東尋坊」(81%)「眼鏡枠の生産日本一」(58%)「福井県立恐竜博物館」(同)の4項目のみ。「おろしそば」(40%)「一乗谷朝倉氏遺跡」(37%)も5割に届かず、嶺南の「レインボーライン」「三方五湖」は1割程度にとどまった。

 「越前がに」でさえ、「ブランド名は聞いたことあるけど、北陸のどこだっけ?」(群馬・40代男性)「カニや地酒など、有名な食材がたくさんあるのに、福井全体として目立たない印象」(長野・40代女性)といった声が聞かれた。

 日本の白地図で、福井県の位置を正しく塗りつぶせなかった人も2割程度いた。石川、富山のほか、福島、福岡、鳥取と間違ったケースも。北関東では「北陸は(どの県も)同じようなイメージ」のようで、北陸新幹線の延伸を知らない人が多かった。

⇒【グラフ】福井と聞いて思い付くものは?

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 一方で新幹線延伸後、福井に行ってみたいという回答は9割を超えた。長野や群馬、埼玉の“海なし県”の人は、カニをはじめとする日本海の幸に、強い関心を持っていた。

 群馬県高崎市で飲食店を営む40代男性は「福井の何が今、面白いのか分からない。互いに興味を持たないと行き来は生まれないから、新幹線でつながったまち同士でPRし合ったらいい」と提案した。

 新幹線延伸に向けた福井県のキャッチコピーは「地味にすごい、福井」。アンケートの回答からもうかがえる福井の印象を逆手に取ったアイデアだが、旅館やホテルを全国展開する「星野リゾート」(本社長野県)の星野佳路代表は「観光という視点でみると、地味であることは自慢にならない」と手厳しい。

 福井県と協定を結び、県内でリゾートホテルの整備を目指す立場から「何を福井のブランドイメージとして強調していくのか。マーケティングがしっかりできていない状態で新幹線が来ることが一番危ない」と指摘している。

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