長崎原爆の「黒い雨」 否定した国に抗議 県保険医協会

 長崎県保険医協会(本田孝也会長)は18日、国指定地域外で長崎原爆の「黒い雨」が降ったなどと認めた県専門家会議の報告書を巡り、内容を否定した国に対して抗議文を送った。
 同地域外で長崎原爆に遭った「被爆体験者」には黒い雨や灰の被害証言があるが、国は長崎に「降雨の客観的記録はない」などとして、広島の黒い雨被害者に限り被爆者と認める新基準を設定。一方、同会議は統計解析を通じて長崎の黒い雨証言が「客観的」などと結論づけたが、国側はあらためて体験者が敗訴した過去の訴訟判決を示し、客観性などを否定する見解を示した。
 同協会は「報告書は長崎が対象外とされた理由を検証し結論したが、国の見解は検討対象の理由を繰り返しただけ」と批判。その上で証言以外にも「長崎の被爆未指定地域の全域で放射線量が記録されていて、(黒い雨などの)放射性降下物が降った動かぬ証拠がある」と強調した。抗議文は岸田文雄首相と加藤勝信厚生労働相に送付した。


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