栃木県が「医療危機警報」 救急搬送困難事案が最多、病院にコロナ患者受け入れ要請

医療危機警報の発出について説明する福田知事=19日夕、県庁

 栃木県は19日、新型コロナウイルス対策本部会議を開き、感染拡大で入院・救急医療が逼迫(ひっぱく)しているとして、県独自の「医療危機警報」を発出することを決めた。期間は同日から当面の間とし、県内全ての入院医療機関にコロナ患者の受け入れに協力するよう要請するほか、県民には救急車や救急外来の適切な利用を求める。同警報の発出は、2020年12月と21年2月に続き3回目。

 県内には入院医療機関が109施設あり、現在は35施設(32%)がコロナ患者の入院を受け入れている。臨時医療施設も含めた確保病床数は計741床。

 現在、新規感染者数は減少傾向にあるものの、病床使用率は第8波に入った昨年11月以降、5割を超えた日数が50日間となり、第7波(30日間)に比べ長期化。院内でのクラスター(感染者集団)も増え、勤務できない医療関係者数も高止まりしている。9~15日に県内で発生した救急搬送困難事案は219件で、過去最多を更新した。

 医療現場の負担軽減に向け県は19日付で、コロナ患者の入院や転院、救急搬送受け入れの協力を求める通知を全入院医療機関に出した。

 会議後の記者会見で福田富一(ふくだとみかず)知事は「(現在の)受け入れ医療機関に頼って入院・救急医療を維持するのは極めて困難。県民の健康と生命を守るため最大限の協力をお願いしたい」と医療機関に呼びかけた。

 発熱外来の逼迫を防ぐため、自主検査で陽性だった人の登録を受け付ける県の「フォローアップセンター」の対象者の拡大も決めた。20日以降は15歳未満や基礎疾患のある人でも、症状が安定し自分で受診が不要と判断すれば対象とする。

 県内に4カ所設置するワクチンの県営接種会場については、一定の役割を果たしたとして段階的に閉鎖する。とちぎ健康の森(宇都宮市)は2月以降は第2、4土曜のみ開設し、3月末で運営を終了する。矢板市と足利市、小山市内の3カ所は1月末で終了する。

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