宇都宮グランドホテル跡、住宅分譲地に グランディハウスが整備

グランディハウスが大規模住宅分譲地の開発を計画している宇都宮グランドホテル跡地=13日午後、宇都宮市西原町

 2021年7月末で閉館した宇都宮グランドホテル(栃木県宇都宮市西原町)の跡地に、住宅建築・販売のグランディハウス(宇都宮市大通り4丁目、林裕朗(はやしやすろう)社長)が大規模な住宅分譲地を開発する方針を固めたことが15日までに、関係者への取材で分かった。140区画程度を整備し、25年度以降の分譲開始を目指している。かつての名門ホテルのシンボルでもあった広大な日本庭園はなくなるが、同社は地域の歴史の継承をコンセプトに、庭園に残る古木などを生かした“街づくり”を進めるとみられる。

 グランディハウスは22年末、所有者からホテルの土地約3万5千平方メートルを取得した。今後、開発を進める。

 分譲地の1戸当たりの敷地面積は170~200平方メートル程度が想定されており、総区画数は、同社として過去3番目の規模で同市内では最大となる。宅地と合わせ、庭園の古木を生かした公園など、緑の多い環境を整備する構想を持っているという。

 県内有数の名門ホテルとして知られた同ホテルの跡地活用は、庭園とともに注目されていた。

 関係者によると、ホテルの閉館後、所有者がグランディハウスに売却を打診した。高台にあるホテル跡地は眺望などに優れ、JR宇都宮駅と東武宇都宮駅からいずれも約2キロの場所に位置する。グランディハウスは立地環境や大規模な区画数を整備できる土地の広さを評価し、開発を決めたとみられる。

 同ホテルは1954年、陽南荘として設立され、71年にホテルに転換。昭和天皇やマーガレット・サッチャー元英首相ら国内外の要人が訪れた。婚礼なども行われ、江戸時代の宇都宮藩主の下屋敷を起源とする広大な庭園も有名だった。しかし、新型コロナウイルス禍に伴う婚礼や宴会の減少で経営は悪化。営業継続を断念し、閉館した。

住宅分譲地が計画されている宇都宮グランドホテル跡地

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