“年代に関係なく注意を” ニセ電話詐欺113件、被害総額2億円 電子マネー型急増

ニセ電話詐欺の県内被害状況

 長崎県警がまとめた2022年のニセ電話詐欺の被害状況(暫定値)によると、認知件数は113件(前年比16件増)で、17年以来、5年ぶりに100件を超えた。被害総額は約2億160万円(同約7千万円減)。電子マネー型の被害が急増したのが特徴だ。
 県警生活安全企画課によると、認知件数は19年以降増加傾向で、特に20年から21年にかけて59件増と大幅に増えた。新型コロナウイルス流行を背景に、在宅の高齢者を狙った犯行が増えたとの指摘もある。
 被害総額は前年に比べ減少したものの依然高止まり状態。2億円を超える年は「手交型」が関わっているとされる。これは犯行グループの「受け子」などが被害者宅を訪れ、キャッシュカードなどをだまし取る手口。19年は10件、21年6件、22年7件が確認されており、いずれの年も被害額は計1億円以上。

ニセ電話詐欺の認知件数と被害総額の推移

 コンビニで電子マネーを購入させ、ID番号を聞き出す「電子マネー型」は昨年57件発生。10件だった19年以降急増している。全体では架空料金請求が約4分の3を占め、過去5年間で最多。中でも、パソコンやスマートフォンの画面に表示された警告メッセージなどを端緒に、詐欺犯と連絡を取ってしまうサポート詐欺やワンクリック詐欺が拡大しているという。
 同課は「比較的被害額が少額の電子マネー型が頻発し件数を押し上げている。手交型が発生すれば被害総額も一気に膨らんでしまう」と警戒。対策として電子マネー型はコンビニや金融機関の声かけが「要」で、手交型については県警が貸し出している自動通話録音(警告)機の利用を推奨している。
 昨年の認知件数113件のうち、被害者の約半数(58件)は高齢者だが、中には有料サイトの解約金などを名目に20代が被害に遭うケースもあるため、県警は年代に関係なく注意を呼びかける。
 一方、好材料もある。被害を未然に防いだ件数は20年の87件を境に、21年が98件、昨年が172件と認知件数を上回るようになったこと。詐欺は、手を替え品を替え忍び寄ってくる。今後も「自衛力」を高める必要がありそうだ。


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