火災による死者8人 過去3番目の多さ 長崎県央消防本部2022年まとめ

県央消防本部管内の火災発生、救急出動件数の推移

 長崎県央地域広域市町村圏組合消防本部(諫早市と大村市、国見町と瑞穂町を除く雲仙市を管轄)は2022年の「火災・救急概要」をまとめた。火災発生件数は95件と、前年の71件から33.8%の大幅増。死者は8人を数え、1972年の同本部発足以来、3番目に多かった。
 一方、管内住民の高齢化が進む中、救急出動件数は過去最多の1万2247件(前年比14.8%増)に上った。同本部は火の取り扱い注意、救急車の適正利用へ協力を呼びかけている。
 火災を種別に見ると、「その他の火災」(44件)が最も多く、建物火災(42件)、車両火災(6件)、林野火災(3件)が続いた。枯れ草などの焼却行為から周囲に拡大する「その他の火災」は前年から20件増加した。
 火災による死者は前年比6人増の8人。2006年の14人、1983年の9人に次ぐ多さとなった。8人のうち、6人が建物火災で亡くなった。
 全体の出火原因では、枯れ草などを寄せ集めて焼くたき火が31件と3割超。電気機器と、農作業に伴って下草を燃やすなどの「火入れ」が各5件、こんろと排気管が各4件だった。
 同本部は火の取り扱いへの注意を喚起するとともに、「電気機器や石油ストーブなどは定期的にメンテナンスをし、古くなったものは取り換えるなどしてほしい」としている。
 一方、救急出動件数は8年連続で1万件超となった。1日平均33.6回出動し、43分に1回の計算。搬送者(1万1431人)を傷病程度別(医療機関の初診時の診断)で見ると、軽症(入院の必要なし)が約3割の3776人。出動要請の中には例年、擦り傷など明らかに緊急性の低いものもあるという。
 必要な救急搬送に対応できるよう、同本部は救急車の適正利用へ協力を求めており、救急車を呼ぶ目安として消防庁が作成した全国版救急受診アプリ「Q助」の活用などを呼びかけている。


© 株式会社長崎新聞社