九州の観光や半導体に期待 FFG・五島久社長 多様なニーズ応える

金融以外も含めた多様なニーズに応えていく姿勢を強調した五島社長=福岡市、FFG本社

 ふくおかフィナンシャルグループ(FFG、福岡市)の五島久社長は長崎新聞などのインタビューで、今年の九州経済について観光や半導体などの関連ビジネスによる活性化を見込み、金融以外も含めた多様なニーズに応えていく姿勢を強調した。

 -今年の経済見通しは。
 新型コロナウイルスの行動制限がない中、消費活動や企業の設備投資が改善してきている。九州では、福岡は不動産の活況が続くだろう。西九州新幹線沿線は宿泊稼働状況が良い。福岡空港の国際線便数も戻りつつあり、インバウンド(訪日客)効果が期待できる。
 九州の半導体生産は全国シェアが4割程度まで持ち直している。TSMC(世界最大手の台湾積体電路製造)が熊本で工場を建造中。京セラの諫早進出も発表され、関連ビジネスがさらに活性化すると期待している。FFGは専門チームでニーズに対応している。
 総じて(九州の景況は)前向きと受け止めているが、物価高など景気を冷ます要因がなくはなく、動向を注視する。

 -本県経済は。傘下の十八親和銀行(長崎市)はどう対応するか。
 経営統合のシナジー(相乗効果)は通年で100億円程度が生まれている。収益シナジーに限ると、もう少し増やしたい。融資だけでなく、(取引先の)成長に向けたデジタル化やコスト削減の支援、ビジネスマッチング、資産運用、事業承継も。特に長崎県は人口減少が進んでいるため、こうしたサービスの提供が大事だ。
 コロナ流行当初の資金繰り支援から、現在は取引先の本業そのものをいかに改善するかという段階に移った。(旧十八銀行と旧親和銀行の)合併で人材を捻出でき、より営業に力を入れられるようになってきた。

 -県内の営業シェアは圧倒的。どう生かす。
 FFGとして長崎県に送客してほしい、全国にブランドを知らしめてほしい、といった非金融ニーズが高いので、もっと提供できるようにしたい。銀行は顧客の目標や夢に向かって伴走する存在だという考え方の浸透をグループ全体に図っている。産学官との関係を密にし、FFGのネットワークを紹介するなど細やかなサポートで期待に応えていく。


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