1区川原(五島南高)好走3位、区間記録迫る 長崎“粘走”15位 全国都道府県対抗男子駅伝

長崎の1区川原(五島南高、中央)が区間3位の走りで第1中継所に入る=広島市

 名だたる駅伝強豪校のエースたちに割って入り、離島の小さな高校に通う2年生ランナーが堂々の区間賞争いを演じた。7キロを走る1区で長崎の川原(五島南高)が区間3位の好走。19分47秒は従来の区間記録にあと1秒まで迫り「手応えをつかんだ」。その表情は充実感に満ちていた。
 2キロ過ぎに臆せず飛び出した。勢いは3キロを過ぎても、4キロを迎えてもなかなか落ちない。追ってきた兵庫の長嶋(西脇工高)、長野の永原(佐久長聖高)と先頭集団を形成し、5キロを14分0秒前後で通過。ラストで離されたが、前の2人が新記録で走れたのは川原の積極果敢な走りがあったからこそ。川原の記録はもちろん、28回の歴史の中で長崎県史上、最速のタイムだった。
 三井楽中3年時に3000メートルで8分20秒42の中学歴代3位(当時)をマーク。コロナ禍で全国大会で活躍する機会はなかった。一方、進学した松浦高では伸び悩み、昨夏に転校を決意。再び故郷で競技に打ち込む道を選んだ。
 現在通う学校は生徒数100人に満たず、駅伝部もない。練習環境や練習相手が潤沢に整っているとは言い難いが、幼いころから教わってきた祖父・高弘さんに師事し、二人三脚で復調を果たした。昨年12月の県記録会5000メートルで14分13秒64をマーク。そして今回、初春の安芸路で大きなインパクトを残した。
 現状では高校の駅伝大会に出場できないため、この大会は自身にとって貴重な大舞台だ。自然豊かな五島列島で成長する17歳は「来年は区間新でリベンジする」と飛躍を誓った。


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