韓国紙「米財務相、日本がEV補助金受けるにはFTAまず締結を」 既に締結の韓国は有利に?

ジャネット・イエレン米国財務長官は、日本と欧州連合(EU)の電気自動車が、米国インフレ削減法(IRA)が規定する補助金の恩恵を受けるには、まず自由貿易協定(FTA)から締結しなければならないと発言した。

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IRA法によって1台あたり最大7500ドル、日本円にして約100万円の同補助金の適用を受けられる米国製電気自動車に対し、日本やEU、韓国で作られたEVは適用されず、米EV市場で劣勢に立たされることから強い反発が出ていた。しかし、これに対し、米側がFTAの締結を補助金適用の条件に掲げたという見方ができる。その場合、すでに米国との間でFTAを結んでいる韓国には有利になる。

韓国聯合ニュースなど複数の韓国メディアは25日、ウォールストリートジャーナル(WSJ)の24日報道を引用し、イエレン長官は24日(現地時間)のマスコミインタビューにおいて、IRAのEVバッテリーの核心鉱物要件について言及し、「現在、米国はEU及び日本と自由貿易分野とみなせるどのような協定も結んでいない状態だが、望むなら交渉できる」と主張したと報じた。

EVバッテリーの核心鉱物要件とは、IRAに基づいて電気自動車税額控除の特典(最大7500ドル)を受けるためには、米国とFTAを締結した国で採掘・加工した核心鉱物が40%以上入ったバッテリーを使用しなければならないことを指す。 比率は2026年以降80%まで上がる予定だ。

欧州の政府関係者や一部の貿易専門家は、IRAにはFTAに関連する正確な規制がないという点を挙げ、EUと日本はすでに過去に締結された協定でその要件を満たすことができるという見方を示していた。

しかしイエレン長官は、このような視点を否定するように「いかなる協定も結んでいない状態」と規定したのだ。

イエレン長官は「例えば、重要な鉱物などに対象を限定した貿易合意がありうるかもしれない」とし、「もし締約国が署名すれば、将来(鉱物が)自由貿易分野になると見ている」と説明した。

IRA法はこの要件のため、EUや日本、韓国などで作られたEVを事実上締め出す効果があることから、反発の声が出ていた。 鉱物以外にも車両バッテリーを構成する要素のうち少なくとも50%が北米で製造または組み立てられなければ全額税額控除を受けることができないと規定されているからだ。この割合は2028年以降100%まで高まる。

韓国の現代自動車の電気自動車は昨年、米電気自動車市場で一時テスラに次ぐシェア2位に入るなど販売好調だったが、8月にIRA法施行が本格化して以降、第4四半期になり販売量が急減していた。

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