洞窟で願う無病息災 新上五島・岩家観音の大縁日祭

洞窟内の観音像を参拝する家族連れ

 新上五島町青方郷の観音岳山頂付近にある岩家観音で22日、大縁日祭(青方岩家観音会主催)が開かれ、参拝者が無病息災などを願って洞窟内の観音像を巡った。
 市川輝雄会長によると、700年以上前、観音岳山頂に毎夜怪しい光が現れ、住民らは不安がった。地元の僧侶の夢枕に3日続けて観音様が現れ、告げられた通りに山頂に観音像を安置したところ、光が現れなくなったという。
 観音を祭ったとされる旧暦1月17日にちなみ、毎年1月17、18日に縁日祭を開いてきたが、平日に当たることもあり、今年から祈祷(きとう)を17日に、縁日祭を直後の日曜日とした。参拝者の利便を考慮した変更で、弓矢による的射り競技やたこ揚げ大会なども取り入れた。
 観音像は本堂や複数の洞窟に安置され、最初に祭られた観音像は「奥の院」と呼ばれる奥行き約10メートルの洞窟内にある。参拝者は体をかがめて狭い洞窟内を進み、石像の前で手を合わせる。同会によると、一帯に地蔵、観音像など50体以上が安置されているという。
 1年間ためた1円玉を持参した同町七目郷の会社員、海部裕子さん(49)は「全ての観音様とお地蔵様に1円ずつ供え、無事に過ごせたお礼をして『今年も頑張ります』と約束したい」とほほ笑んだ。

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