松山英樹が底力で7カ月ぶりトップ10 「やっと予選通過のレベル」

トップ10入りを評価も喜びは控えめ(撮影/田辺安啓(JJ))

◇米国男子◇ファーマーズインシュランスオープン 最終日(28日)◇トリーパインズGC サウスコース(カリフォルニア州)◇7765yd(パー72)

松山英樹は暫定2位と首位を射程圏に捉えて入った最終日のバックナインを「いつも通りやっていた感じです」と振り返る。優勝争いのしびれる緊張感についても「いや、そういう感じはなかったですけどね」と静かに首を振った。

本人の口ぶりは淡々としていても、前半のプレーからは“予感”がほとばしった。6バーディは技術を詰め込んだバラエティ豊かな内容。3番と8番の2つのパー3をはじめ、松山らしいアイアンショットを1m前後に絡めたものが4つ。6番(パー5)はコンパクトな振りのセカンドで深い右ラフから巧みにグリーンまで届かせて2パット、9番(パー5)は下り8mほどを繊細なタッチで流し込んだ。

難コースでショートゲームが光った(撮影/田辺安啓(JJ))

タフなコースでしっかりと伸ばしていけるのは、鉄壁のディフェンス力があってこそ。2番と4番はニアサイドのラフから寄せワンでしのぎ、5番はガードバンカーからスピンバックでカップに消えようかという完璧なリカバリーを見せた。

「前半は良かったですけどね、それが続かないんで。これをどうしていけばいいのかなって感じはありますけどね」。圧巻の前半の喜びを、停滞した後半への意識が上回る。10番で8m強のパーパットを沈めた直後、11番(パー3)でピンに向かって真っすぐ飛んだショットが奥のカラーまで転がった。パターでしっかり狙いにいったバーディトライはカップに蹴られて2mを残し、この日最初のボギーで猛チャージにストップがかかった。

暫定2位で入ったラスト9ホールでスコアを落とした(撮影/田辺安啓(JJ))

最終18番(パー5)では252ydと微妙な距離を残したセカンドを池に落としてボギーフィニッシュ。プレーのフィーリングについて「(トータルでは)やっと予選通過するくらいのレベルじゃないですか」と手厳しく評し、満足にはほど遠い状態であることを隠さない。

それでも、体調不良の影響もあってか本来の飛距離が出ていない中で決勝ラウンドは「69」をそろえて通算7アンダー9位と今季初のトップ10入りを果たした。「入ったの、6月(昨季の全米オープン)以来だと思うんで。良かったなと思います」。大会2勝を誇る次戦「WMフェニックスオープン」(2月9日~/アリゾナ州TPCスコッツデール)へ期待は膨らむ。(カリフォルニア州ラ・ホヤ/亀山泰宏)

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