韓国紙「サウジに韓国が高速鉄道輸出の可能性」 日本に技術で劣るが...抱き合わせ商法?

サウジアラビアが推進中の未来型新都市「ネオムシティ」プロジェクトに、韓国が高速鉄道を輸出する可能性が取り沙汰されている。一方で、技術的問題もあるようだ。

(参考記事:韓国紙「ベトナムが日本に高速鉄道建設を公式要請」…8兆円規模工事、日韓は競合関係?

韓国メディア「ニュースピム」は30日に掲載した記事で、サウジアラビアのネオムシティプロジェクトに韓国高速鉄道が初の海外輸出成果を出すことができるか注目されると報じている。

(ニュースピム当該記事URL:https://www.newspim.com/news/view/20230130000040)

ネオムシティプロジェクトの核心事業である「ザ・ライン」の両端170キロ区間を結ぶ交通手段として鉄道が用いられるが、「韓国は政府レベルでネオムシティ受注支援に全方位に乗り出しており、鉄道分野でも実績を収める可能性が挙げられる」と同紙は伝えた。

ネオムシティ側が既存の高速鉄道ではなく超高速列車「ハイパーループ」の導入も検討しているが、こちらは技術的な課題がまだあることから、商用化がまだ不確実であり、高速鉄道が採用される可能性が高いと同紙は指摘する。

THE LINE/neom.com

聯合ニュースは昨年掲載した記事で、サウジアラビアはネオムシティ用の高速鉄道(時速300km)480両と電車160両、電気機関車120両の製作を発注する計画であるとされ、3兆6千億ウォン(3800億円)の規模になると伝えていた。

(聯合ニュース富樫字URL:https://n.news.naver.com/mnews/article/001/0013584055?sid=101)

一方でニュースピウム紙は、「ネオム(シティ)が高速列車を導入しても輸出ができるとは限らない」とし、その理由として「韓国は高速列車の輸出実績が全くない」ことを挙げた。2016年からマレーシア~シンガポールの高速鉄道建設事業に韓国も参入したが「中国の資本力、日本の技術力に押されるという指摘をずっと受けてきた」と述べている。

続けて「路盤、建築などの下部技術は競争力があるが、軌道、システム、車両などの上部(技術)は中国と大きく違いを得られなかったという評価が出た」とし、事業自体はマレーシア政府が中止したが、「発注があったとしても韓国は勝算が低いという見通しが支配的だった」と伝えている。

一方で、ネオムシティの地下トンネルを韓国企業(現代建設)が請け負っていることや、サウジの最先端産業団地「オキサゴン」に自動車工場を誘致したいサウジアラビアに対し、現代自動車がいわば抱き合わせ商法で高速鉄道を輸出できるのではという可能性も指摘している。

現代自動車グループは自動車事業以外にも建設業(現代建設)や鉄道事業(現代ロテム)も束ねているからだ。実際、現代ロテムは、ビン・サルマン皇太子が訪韓した昨年11月、サウジ投資部と鉄道協力了解覚書(MOU)を結んでいる。 聯合ニュースは現代ロテムがネオムシティの高速鉄道製作受注を目標に掲げていると伝えていた。

(当該MOUを説明する韓国国交省発表:https://www.korea.kr/news/pressReleaseView.do?newsId=156537172)

以上 コリアエコノミクス編集部

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