全日本ラリーが嬬恋で開幕。スバルの鎌田卓麻が2020年以来の優勝、負傷明けの新井は復帰戦で3位

2月3~5日、群馬県吾妻郡の嬬恋村を拠点に2023年JRC全日本ラリー選手権第1戦『ラリー・オブ・嬬恋』が行われ、スバルWRX STIを駆る鎌田卓麻/松本優一組(SUBARU RALLY CHALLENGE)が優勝を飾った。

 台風による現地の被災やコロナ禍の影響で近年、開催中止が続いたラリー・オブ・嬬恋。今年4年ぶりに全日本ラリーのカレンダーに復帰した同ラウンドは、前回大会の2019年と同様にシーズン開幕戦としての実施に。しかし、大会は新型コロナウイルスの感染第8波の影響を鑑みて無観客での実施となった。

 競技は晴天に恵まれた4日(土)13時からスタートし、まずはオープニングのSS1で鎌田がベストタイムを刻み総合トップに立つ。その後のSS2からSS4にかけては、シュコダ・ファビアR5をドライブする福永修が3連続ベストを記録してみせるが、鎌田もセカンドベストで応戦し総合首位の座を譲らない。

 雪不足のためステージ距離が短縮されたSS5では、昨年11月に行われたWRC世界ラリー選手権第13戦『ラリージャパン2022』のアクシデントで負傷した後、今大会で競技に復帰した新井敏弘(スバルWRX STI)がステージ優勝を飾り総合2番手に浮上した。

 新井はまだ身体に痛みが残るなかSS6でもベストタイムを刻む。初日最後のステージとなったSS7では順位をひとつ落としたが、このステージを制した総合2番手の福永と0.1秒差の総合3番手につけた。

 一方、首位を走る鎌田は福永がSS5でスピンしたことでリードを大きく拡げ、12.9秒差のギャップを築いて初日を終えている。

■スバルが新体制の初陣でワン・スリー・フィニッシュ

 5日(日)最終日も天候は良好。それがゆえに道路上の雪や氷が溶け始め、非常に滑りやすいコンディションでのラリーとなった。トップに立つ鎌田はSS8から計4本のSSで争われたレグ2前半の2本で最速タイムを記録し、リードをさらに拡げてみせる。

 この時点で後続に30秒のギャップを作った鎌田は残りの2SSではペースをコントロールしながらもセカンドベストを並べ、2020年第5戦丹後以来となる久々の全日本ラリー優勝を果たした。

「2023年からSUBARU RALLY CHALLENGEというかたちでチーム体制も一新し、関係者だけでなくファンのみなさんからの応援も熱く、プレッシャーを感じていましたが、その中でできることをしっかりとやろうと考えていました」と語った鎌田。

「滑る路面ではスバルの強みを活かせます。コントロール性のよさがアドバンテージになったと思います」

 わずか0.1秒差で最終日を迎えた福永と新井の2番手争いは、レグ2オープニングのSS8で2番手タイムを出した新井が福永を逆転する。しかし、サービスを挟んで迎えたSS10では福永がベストタイムで応戦。ふたたび総合2番手となった福永は最終SS11でも最速タイムを叩き出し2位表彰台を決定づけた。一方、ライバルと0.2秒差で最終ステージに臨んだ新井は、同SSでスピンを喫しタイムを失うことに。それでも総合3位でフィニッシュし復帰戦で表彰台を獲得している。

 JN2~JN6の各クラスウイナーは以下のとおり。全日本ラリーの次戦は3月3日から5日にかけて、愛知県新城市を中心に開催される第2戦『新城ラリー2023 Supported by AICELLO』だ。

新井敏弘/小藤桂一組(SUBARU WRX STI) 2023年全日本ラリー第1戦嬬恋
2023年全日本ラリー開幕戦ラリー・オブ・嬬恋の表彰式

■2023年JRC全日本ラリー選手権第1戦ラリー・オブ・嬬恋 総合トップ3&クラス優勝者

Pos. Driver&Co-Driver Car Team Time

JN1クラス1位 鎌田卓麻/松本優一 スバルWRX STI SUBARU RALLY CHALLENGE 46’24.0

JN1クラス2位 福永修/齊田美早子 シュコダ・ファビアR5 THREE FIVE MOTORSPORT 46’47.0

JN1クラス3位 新井敏弘/小藤桂一 スバルWRX STI SUBARU RALLY CHALLENGE 47’04.9

JN2クラス1位 堀田信/河西晴雄 トヨタGRヤリス DL itzz MAP GR ヤリス 49’03.6

JN3クラス1位 上原淳/漆戸あゆみ トヨタ86 シャフト 58’51.9

JN4クラス1位 西川真太郎/本橋貴司 スズキ・スイフト スマッシュラリーチーム 52’04.9

JN5クラス1位 鶴岡雄次/山岸典将 トヨタ・ヤリス スマッシュラリーチーム 1h11’49.5

JN6クラス1位 天野智之/井上裕紀子 トヨタ・アクア 豊田自動織機RALLY TEAM 52’58.3

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