「離島貢献」八坂医師を顕彰 住友生命福祉文化財団 新上五島で健康道場 対馬の救急医療向上

「島での医療はライフワーク」と話す八坂氏=対馬市美津島町、県対馬病院

 一般財団法人「住友生命福祉文化財団」(大阪市)が、離島やへき地などで地域医療に多大な貢献をしている医師を顕彰する「第16回地域医療貢献奨励賞」に、県対馬病院長兼県上五島病院顧問の八坂貴宏氏(60)が選ばれた。長崎県からの受賞は3人目。
 同賞は自治医科大の後援。2007年度に創設された。各都道府県から推薦を受けた医師の中から同大学長らが選考しており、本年度は25人の中から八坂氏を含む6人が選ばれた。
 八坂氏は対馬市出身。長崎大医学部卒業後、県上五島病院や県対馬病院などで勤務し、延べ約30年にわたって離島の地域医療に携わってきた。
 上五島病院では、診療情報部長、副院長などを経て07年に院長に就任。新上五島町と協力して町内の公民館や集会所を巡る「健康道場」を開き、50カ所以上の集落で、がんや高血圧、糖尿病などの予防啓発に取り組むなどした。
 19年、県対馬病院長に就任。同病院の「地域医療連携室」に専門スタッフを配置し、行政や他の医療機関、介護福祉施設などとの連携を強化。島が広く、搬送に時間がかかる対馬で、時代に合った治療方法に率先して取り組み、救急医療の向上に努めてきたことなども評価された。
 八坂氏は「島での医療はライフワーク。支えてくれた家族や同僚、地域の人たちに感謝したい」。今後については「島の中で完結できる医療を目指してやってきた。遠隔医療の導入などにも取り組み、誰もが安心して暮らせる離島にしていきたい」と話した。
 授賞式は3月4日、東京都内で開かれる。


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