こちらは、広島市の地ビールパブの新商品「ピーナツ味のビール」です。商品にならない規格外のピーナツを使ったもので、広島・東広島市の農家が発案しました。ピーナツは食べるだけじゃない…。農家の知恵に迫りました。
去年暮れ、広島市繁華街の駐車場です。東広島市の農園「アグリ・アライアンス」のスタッフです。
アグリ・アライアンス 脇大輔さん
「これは、焙煎ピーナツで、ちょっと焦げてしまったものとか、基本的に廃棄してしまうものなんですけど…」
袋の中身は規格外の焙煎ピーナツ。
これを地ビール醸造所「HNB(ヒロシマ ネイバリー ブリューイング)」に持ち込みました。
HNBを運営 カナデル 福本成美 取締役
「すごくいい香り。あー、おいしい。バレンタイン向けのビールを作ろうと思っています。うちも今までやってないスタイルのビールにしようかなと思って」
規格外ピーナツは、焙煎の過程で焦げたもので全体のおよそ1割を占めます。きっかけは、去年5月ごろ農園側から話を持ちかけたことでした。
HNBは、レモンやカキなど広島県内の食材を利用したビールを作っています。
HNBを運営 カナデル 福本成美 取締役
「おもしろいなと思って、使えるというか、使わせてもらったら楽しいなと思って」
アグリ・アライアンス 脇伸哉 取締役
「 (ピーナツを)味わってもらうレパートリーがどんどん広がって楽しみ」
ビール作りが始まりました。熱湯を沸かした釜の中にピーナツの殻を投入します。
続いて麦芽を入れます。このあと、東広島市産のイチゴを加えて発酵させ、ピーナツの実を入れます。どんなビールができるのでしょうか?
「アグリ・アライアンス」は5ヘクタールの畑でピーナツを栽培し、焙煎ピーナツやピーナツペーストを製造・販売しています。
アグリ・アライアンス 脇伸哉 取締役
「規格外のものとか、通常、捨てているものをどう活かして、消費者の方に届けるかっていうのは、常に課題として思っていたので」
農園の取締役・脇伸哉さんは、ピーナツの殻の利用に取り組んでいます。
その1つが、妻の智美さんが作る殻を煮出した落花生茶です。
試飲する 柴田和広 記者
「すごく香ばしいですね」
妻 智美さん
「焙煎したものってコーヒーもそうですけど、香りがとてもいいので、コーヒーの感覚でちょっと煮出してみました」
この落花生茶…、商品化も検討されています。
こちらは、きんちゃく袋の中に焙煎ピーナツの殻を詰めたものです。何に使うのでしょうか?
アグリ・アライアンス 脇伸哉 取締役
「この殻には消臭効果と吸湿効果があるので、ピーナツを食べたら捨てないで、においの気になるところに置いてもらったら消臭効果がありますよ」
このきんちゃく袋を農園でピーナツを買った人に試験的にプレゼントしたところ、好評で今後、本格的に取り組む予定です。
地ビール醸造所「HNB」でピーナツビールが完成しました。商品名は、「7515ベルジャンエール」。“ナッツとご縁イチゴ” のビールという意味です。
「アグリ・アライアンス」のスタッフが試飲しました。
HNBを運営 カナデル 福本成美 取締役
「ありがとうございました。乾杯」
アグリ・アライアンス 脇伸哉 取締役
「ありがとうございました。このたびは」
アグリ・アライアンス 脇大輔さん
「最初は落花生の味がしてきて、最後はイチゴがスーッと抜けていく。コクはすごくあるんだけど、さわやかな感じ」
福本さんが、付け合わせにチョコレートケーキを出しました。
HNBを運営 カナデル 福本成美 取締役
「バレンタイン時期だから、そういうスイーツに合わせられるビールがいいなと思って」
材料にイチゴを加えたのは、スイーツに合わせるためでした。
アグリ・アライアンス 脇大輔さん
「おいしいです」
アグリ・アライアンス 脇伸哉 取締役
「本当だ」
アグリ・アライアンス 脇大輔さん
「こっちの方がいいかも知れない」
規格外ピーナツの活用から生まれたビール…。お客さんの評判もよく、来月まで販売される予定です。