“卒業式マスクなし”「抵抗ある」「表情見たい」… 政府指針に長崎県内の反応は?

 卒業式でのマスク着用について政府が10日、「着用せずに出席することを基本とする」と指針を示したことを受け、長崎県内で卒業予定の児童生徒や保護者、学校現場からは戸惑いや不安、歓迎する声などさまざまな意見が聞かれた。
 「入学式から、マスク下の顔をほぼ見せたことないから抵抗がある」。長崎女子高3年の早﨑未奈(みいな)さん(18)はこう話す。卒業式後には美容師国家試験を控え、新型コロナウイルス感染への不安もある。そばにいた同級生の山下樹香(このか)さん(18)は、うなずきながら「まだ誰がウイルスを持っているか分からず怖い」と付け加えた。
 中学3年の娘がいる平戸市の団体職員の女性(48)は新型コロナの後遺症などへの不安をこぼし「予防できるなら(マスクを)してほしい。あと数年は怖くて外せない」と話した。
 一方、卒業式でマスクを着用しないことに賛成する声も。青雲中3年の田﨑敦大さん(15)は「最後は3年間過ごした仲間の顔を見て、しっかりコミュニケーションを取りたい」と歓迎。3年前、小学校の卒業式では保護者の出席が1人に限定されるなど、大幅に縮小されたことを振り返り「今回は、後輩にも卒業する姿を見せたい」と願った。
 雲仙市立北串小6年の森﨑蘭乃(らん)さん(12)は「みんなでマスクを外して笑顔で出たい。少し泣いてしまっても、恥ずかしくない」。母親の恵理香さん(39)も「一生に一度。6年生は11人だけなので、間隔を空けてノーマスクでやってほしい」と賛同した。長女が小学6年生の公務員男性(39)=同市千々石町=は「笑顔なのか泣くのか、表情も見たい。学校の方針に従うが、できるならマスクなしがいい」と話した。
 学校現場からは、戸惑いの声もあった。県央地区の公立小で6年生の担任をする30代男性教諭は「これまでずっとマスクを着けて卒業式の準備もしてきた。このタイミングで言われ、恥ずかしがる子もいると思う」。五島市内の小学校で教務主任の男性教諭は「6年生は(マスク着用など)我慢を強いられてきたので、外して参加させたい気持ちはあるが、(医療体制が脆弱(ぜいじゃく)な)離島で感染が広がったら大変」と述べ、慎重に検討する考えを明かした。


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