トルコの血が流れる「ドイツ生まれの名選手たち」

先日発生したトルコ南東部の大地震は甚大な被害を出しており、サッカー界からも数多くの支援が行われている。その中心となっているのが欧州に数多く存在するトルコ系の選手たちだ。

今回はその中で「ドイツで生まれたトルコ人選手の名プレーヤー」をピックアップしてみた。

ハカン・チャルハノール

現在:インテル所属

ミランからインテルへと禁断の移籍を行ったハカン・チャルハノール。一時は世界最高のフリーキッカーとも言われたほどの精度を誇り、トルコ代表でも長く中心的な存在となっている。

彼はドイツのマンハイム生まれで、両親はトルコ出身。また幼なじみだった妻のシネム・ギュンドドゥ(一度離婚申請したが復縁した)もトルコ系だ。ユース時代から代表もドイツではなくトルコを選んでおり、ルーツに強い愛着を持つ選手だと言える。

メスト・エジル

現在:引退

先日現役を引退した2000年代屈指の司令塔メスト・エジルは、トルコ系の選手としては歴史上最高の存在だったと評価されている。その左足から繰り出されるパスやクロスの正確性とアイデアは、多くのファンの目を惹きつけた。

祖父がトルコからドイツへと移民してきた人物であり、三世にあたる。ただメスト自身は小さな頃からトルコ移民の環境で育ち、トルコ語を学び、経験なイスラム教徒として育った。現在の妻アミン・ギュルシェも元ミス・トルコで、結婚式の仲人もエルドアン大統領が務めた。

イルカイ・ギュンドアン

現在:マンチェスター・シティ所属

父方の祖父はトルコのバルケシル出身で、ドイツの鉱山で働くために移住してきた人物。父のイルファンはそれに遅れて1979年にトルコからドイツに渡ってきたという。イルカイ自身はゲルゼンキルヒェンで生まれたが、名前もトルコ語のものを与えられており「新月」を意味している。

チャルハノールとは境遇が似ているが、彼はユース時代からドイツを選択して各年代の中心選手として活躍。ただ一方でトルコとの結びつきは極めて強く、従兄弟のナズ・アイデミルはトルコ女子代表のバレーボール選手であり、エルドアン代表と直接会談したこともある。

エムレ・ジャン

現在:ボルシア・ドルトムント所属

フランクフルトでトルコ人の両親の下で生まれたエムレ・ジャン。バイエルンでデビューしたが、もともとアイントラハト・フランクフルトのユースで育った選手だった。リヴァプールやユヴェントスなどでプレーし、現在はドルトムントに所属している。

U-15の時代からドイツ代表を選択して戦ったが、名前の通りトルコとのつながりは強い。ただ、2018年にはギュンドアンやエジルがエルドアン大統領と会談するなか、彼はそれを拒否している。

ヌリ・シャヒン

現在:アンタルヤスポル監督

トルコ出身の両親の下、ドイツのリューデンシャイトで生まれたヌリ・シャヒン。13歳でボルシア・ドルトムントに加入し、ユース年代から際立った活躍を見せ、若くしてトップチームへと引き上げられた。欧州で最も有望なヤングスターと期待されたものの、残念ながら度重なる怪我のためにキャリアを妨げられてしまった。

代表はU-16からトルコの方を選択しており、フル代表でも52試合でプレー。現役生活の最後もトルコのアンタルヤスポルで過ごし、2021年限りで引退。そのまま監督としてチームを率いており、現在は中島翔哉を指導。

アルトゥントップ兄弟

現在:トルコサッカー協会理事(ハミト)、バイエルントレーナー&スカウト(ハリル)

ともにヴァッテンシャイトというクラブから羽ばたいたハミト・アルトゥントップとハリル・アルトゥントップ。ふたりとも1982年12月8日生まれの一卵性双生児である。

どちらもドイツ代表を狙える存在だったが、ユース時代からトルコ代表を選択してプレー。両親の出身地に強いシンパシーを持っており、ハミトはEURO2010の前にドイツを選んだエジルを公に批判したことすらある。

デニズ・ウンダフ

現在:ブライトン

三笘薫が大ブレイク中のブライトンでプレーしているのがデニズ・ウンダフだ。父はトルコ生まれのクルド人、母はシリア人であるとのことだが、彼自身はドイツのニーダーザクセン州にあるアヒムという地域で生まれている。

ブレーメンの下部組織に所属していたこともあるが、ドイツの下部リーグでのプレーで成功を収めて2020年にウニオン・サン・ジロワーズに移籍。ベルギーで大活躍したあと、今季親クラブでもあるブライトンへと引き抜かれている。

メーメット・ショル

現在:指導者

トルコ人の父親とドイツ人の母の間で生まれたメーメット・ショル。ただ、彼が5歳の時に両親は離婚しており、母親のほうに引き取られている。トルコ語の名前で言えばメフメット・ユクセルであるという。

出身地のクラブであるカールスルーエでデビューし、その後バイエルン・ミュンヘンとドイツ代表で活躍。圧倒的なドリブルスキルやクリエイティビティ、そして正確無比のフリーキックで知られ、同国の歴史上でも屈指のアタッカーとして評価される一方、キャリアを通して怪我が多かったことでも知られる。

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なお、他にもケレム・デミルバイ、スアト・セルダル、サリフ・エズジャン、ジェンク・トスン、カーン・アイハン、ベルカイ・エズジャンなどがドイツ出身のトルコ人選手である。

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