トップスピード改善でドゥカティに接近したクアルタラロ、大幅進化に浮かべた笑み/MotoGPセパン公式テスト2日目

 マレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットで2月11日に行われたMotoGP公式テスト2日目を終え、ファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)は柔和な表情を浮かべていた。

 このテストで、ヤマハは2022年から大きく向上したトップスピードを披露した。初日を終え、ヤマハの最高速の数字としては、クアルタラロが334.3km/hで4番手、チームメイトのフランコ・モルビデリ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)が333.3km/hで7番手。2日目は雨によりドライコンディションでの走行時間が少ない状況となったが、その中で、クアルタラロが335.4/hで3番手、モルビデリが333.3km/hで9番手となっている。

 初日の最高速はドゥカティのサテライトチームのライダーであるマルコ・ベゼッチ(ムーニーVR46レーシング・チーム)で、336.4km/h、2日目はドゥカティのファクトリーライダー、フランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)で336.4km/h。最高速、エンジンパワーについては以前からヤマハの課題だったが、少なくともこのテストの時点では、その点でアドバンテージを誇ってきたドゥカティに迫っていることがわかる。

 クアルタラロはトップスピードについて「大きく前進したと思う」と手ごたえをつかんでいる様子。2日目終了後には、こう語っていた。

「僕たちは2022年にエンジンが“なかった”。テストをスタートしたときに、前年と同じようなエンジンであることがわかっていたからだ。でも今回は、2022年よりもずっとよくなっている。昨年とは全く違うみたいだ」

「(最高速を出したときは)一人で走っていた。だからとても期待できるんだ」と、クアルタラロ。記録されたのは誰かの後ろについて出したトップスピードではなく、単独で記録したものであるという。実際のレースではさらに伸びしろがあるということだ。

「彼ら(ヤマハ)はまだまだあきらめていないから、もしさらなる向上を見いだせれば、それは重要になるだろう。トップスピードはいい。でも、空力デバイスがかなり軽くなってもいる。エアロダイナミクスとダウンフォースをさらに得るために、さらなるパワーが重要になる」

 さらに、テスト時点のパッケージがドゥカティに近づいたと思うか? という質問に対して、クアルタラロは「イエスだ。もしすごく離されているなら、こんな風にあんまり笑えなかったと思うよ」と笑みを浮かべた。

「とても大きな改善を行っているんだ。2020年から2022年の改善というのは、これくらい(と言って、両手で小さな幅を作る)だった。でも、2022年から2023年は、思ったよりもずっとよくなっていると思うんだ(そう言って、両手の幅をさらに大きくする)」

「ヤマハはすごく懸命に作業をしている。ポルティマオではまだテストすることがあるから、まだ終わってはいないけどね」

フロントの空力デバイスの形状も変化。エアインテーク前の部分について長短が異なるものを走らせていた
テストチームのマシン。エアインテーク前の部分がクアルタラロのそれとは異なっている
多くの時間、ウエットコンディションだったこの日、クアルタラロは34周して4番手
テストライダーであるカル・クラッチローが走らせていたマシン
テストはまだ2日目。改善すべき点はまだあるものの、今の状況におおむね満足している様子

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