初優勝の地から再び世界の頂点へ シェフラーが松山以来の大会連覇

大会連覇で世界ランキング1位の座を奪還したスコッティ・シェフラー(撮影/田辺安啓(JJ))

◇米国男子◇WMフェニックスオープン 最終日(12日)◇TPCスコッツデール(アリゾナ州)◇7261yd(パー71)

カップインを確信してパターを空高く掲げ、右こぶしを握る。スコッティ・シェフラーは、ウィニングパットを決めたかのようなアクションから“スタジアム”のスタンドに向かって雄たけびを上げた。

単独首位からリードを保って名物パー3の16番を迎えたが、ニック・テイラー(カナダ)との差はわずか1ストローク。緊迫のティショットは左サイドの傾斜にはじかれ、スタンドの塀近くまで転がった。ニアサイドのピンに対するアプローチは土手で入れたワンクッションもむなしく、5m近くオーバーした。

勝負を決めた“スタジアム”16番パー3でのプレー(撮影/田辺安啓(JJ))

「まず考えたのはスピードだけ。ラインも決まっていたし、気持ちよくセットアップできた」。同じく左に外したテイラーが1.8mとパーを拾えそうな状況にあったことも、この一打への集中力を高める要因になった。「ニックは恐らく入れてくるに違いないと。あれは、彼が今日ミスした初めてのパットだったんだ」。シェフラーが見せた渾身のパーセーブの後、テイラーがボギー。勝負を分ける2打差がついた。

前年大会、プレーオフの末に悲願の初優勝を遂げてからの勢いはすさまじかった。3勝目となる3月「WGCデルテクノロジーズ・マッチプレー」で世界ランキング1位に到達。さらに「マスターズ」でメジャー初制覇も果たし、6戦4勝の大ブレークでPGAツアーの年間最優秀選手にも輝いた。

ハイレベルな戦いを制した(撮影/田辺安啓(JJ))

その後は安定して上位で戦いながらも未勝利が続いていたが、初優勝の地で10カ月ぶりのタイトルをつかみ、ロリー・マキロイ(北アイルランド)に奪われていた世界ナンバーワンの座も取り戻した。「マスターズ以来、勝っていなかったからね。今年の初勝利は、間違いなくいいものだよ」と喜びをかみしめる。

2016、17年大会の松山英樹以来となる史上7人目の大会連覇。さらに3試合のタイトル防衛戦が控える今後の8週間へ、これ以上ない勢いをつけた。(アリゾナ州スコッツデール/亀山泰宏)

今季初優勝の歓喜(撮影/田辺安啓(JJ))
ショットは荒れがちだったが72ホールでわずか2ボギーに収めた(撮影/田辺安啓(JJ))

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