静岡市清水区の新たな名物を目指す「清水クラフトカリー」が2月11日に発売されました。決め手は鰹節から抽出した「だし」。産学共同で2年の歳月をかけて開発された唯一無二のカレーです。
日本人の国民食ともいわれるカレー。これを使って、清水のまちを活性化しようという動きが始まっています。
<試食の様子>
「これがサクラエビです」
「あーすごい」
「あ、ほんとだ」
「これ好きだ」
お披露目の場に選ばれたのは、清水区のエスパルスドリームプラザ。「清水クラフトカリー」はドリームプラザの中にあるビュッフェ「はとばキッチン」のカレーに、鰹節からとった「だし」を加えたものです。これをベースに、清水区内で人気の4つの飲食店がさらにアレンジを加え、「ブルーチーズ」風味や「チャーシューたれ」風味などあわせて5種類のレトルトカレーが誕生しました。
そのうちのひとつ、「桜海老とカルダモンのカリー」。手掛けたのは、美味しい蕎麦と酒の肴が評判の清水区の人気店「ふるさと」です。
<ふるさと 三上万弥店長>
「味付けに使うのは、カレーパウダーとサクラエビ粉なんですよ。で、このひげの部分を粉砕してあるんですけど、これがすごい香りが強いんですよ。味の強いカレーでも負けないです」
メインの香り付けには、地元の特産品サクラエビをチョイスしました。
<ふるさと 三上万弥店長>
「(ベースのカレールーを)食べた時、『おお、うまいの作ってきたな』というのが率直な感想。やっぱりだしってすごいですね。レトルトでもこんなにおいしくするのかと」
ベースとなるカレールーは、清水区の老舗「西尾商店」のだしからつくられます。およそ120年前からだしをつくる西尾商店。カレールーに使われているのは、この鰹節からとった「濃縮だしエキス」です。東海大学と静岡県工業技術研究所と共に産学共同で2年の歳月をかけて開発しました。
<西尾商店 西尾透雄さん>
Q.なぜこのように売り出した?
「だし離れという危機的状況にある。日本の大切な食文化のだしを絶やしちゃいけないということで、カレーがだしでうまくなるという発想で生まれました」
30代以下の人を対象としたある調査では、「学校の授業以外でだしを取ったことがない」と回答した人が40%以上にのぼるというデータもあり、若者のだし離れは深刻です。
開発したエキスは、キムチの素やアイスクリームにも使われていて、今回はカレーにも。港町・清水生まれの「だし」の可能性を示しています。
<西尾商店 西尾透雄さん>
「鰹節の香りが強くついた水、これは普通にだし取りをする濃度ではなく、もっと高濃度にだしを取った抽出液ですね。この2つを合わせることで、旨味がワンランクもツーランクもアップする」
11日のお披露目会では、静岡県外から訪れた人の姿もありましたが、軒並み好評だったといいます。
<西尾商店 西尾透雄さん>
「これを食べてお店に行こうだとか、そういう波及効果が清水を元気に、笑顔にしてくれればいいなと思います」
「清水クラフトカリー」。港町の新たな名物を目指し、船出したばかりです。