静岡県内で、最も西に位置する湖西市に、2022年12月にオープンした「55MIYABI」。店内は、焼き鳥屋さんとは思えない、お洒落なバーといった雰囲気です。
こちらは看板メニューの名古屋コーチンの焼き鳥。名古屋コーチンの産地・愛知県は目と鼻の先。店の立地を活かし、愛知と静岡それぞれの食材を活かそうとしています。
<55MIYABI店主 岡本雅人さん>
「隣は10分で愛知県。30分の場所で名古屋コーチンを作っている。今から取りに行けば、きょうさばいたものが出せる。一番おいしい状態で出せる」
「名古屋めし」の代表格・どて煮をオムレツの上にかけた、「どてオムレツ」も人気メニューです。
静岡県からは、県産の黒毛和牛をふんだんに使ったカレー。脂が少なく、味が濃いというウチモモの肉を使っています。
<55MIYABI店主 岡本雅人さん>
「牛肉をよく煮込むので、うまみが出てくる。溶けるくらいまでやるので、おいしいですよね」
店主の岡本雅人さん。実は12年前までは、建築職人でした。転職を決意したのは、東日本大震災がきっかけでした。
<55MIYABI 店主 岡本雅人さん>
「震災があって仮設住宅を建てに行った時に、そこで会ったおばあさんに『家族は不幸な事があったけど、私はこうして命があるので、仕事ができるのでよかった』と言われた。一回しかない人生なので、(やりたいことを)やらずに後悔するよりもやってみようと思った」
当時から飲食業への憧れがあり、夜は焼き鳥店で修業をしていたという岡本さん。被災地で出会ったおばあさんの言葉に突き動かされ、翌2012年に自分の店をオープンさせてしまいました。
そして、2022年12月、岡本さんが生まれ育った湖西市に「55MIYABI」を構えました。店は建築職人の経験を活かし、自らリフォームしたそうです。ここで働くスタッフは「自分の店を出したい」と野心を抱く若者。以前の自分の姿に重ね合わせます。
<55MIYABI 店主 岡本雅人さんと店員>
「これからもっと自分で店を出せるように修行して、気合いれてやれよ」
「お願いします!」
「おっす!」
<社員 東知輝さん>
「独立して店を出すことが最終目標です。大将に店を任せたって、言ってもらえれば1番です」
<55MIYABI 店主 岡本雅人さん>
「夢を持って入ってくる子が多いので、応援したくなる。自分のやりたい事を叶える環境を作ってあげたい」
<店員>
「失礼します。55ユッケです」
名古屋コーチンの焼き鳥に並ぶ看板メニューとして売り出し中なのが、自社工場で作った静岡産黒毛和牛の「ユッケ」です。
<55MIYABI 店主 岡本雅人さん>
「肉の食感を残すために、マイナス60℃のアルコール冷凍で一気に冷やすので細胞が壊れない。歯応えがいい」
ユッケは保健所などの厳しい審査を経て提供。3月からは、このユッケを使ったランチも始める予定です。
<55MIYABI 店主 岡本雅人さん>
「いまは、夜しか営業していないんですけど、今度若い子たちがランチをやっていく。自ら料理を出して稼いで、お客さんがたくさん集まってくれれば、その子たちのコミュニティが増えて人生が変わるかもしれない。色々な人が集まればいいなと思います」
その立地から、静岡と愛知の食材を活かす焼き鳥店。この店を舞台に、スタッフと一緒に後悔のない毎日を目指します。