ヤングケアラー、互いにたたえて 「子どもらしさ取り戻す」横浜で英国流イベント、まず一歩

子どもたちと一緒にイベントを作り上げたスタッフたち=横浜市役所

 家族の世話や家事を日常的に担う子ども「ヤングケアラー」。当事者同士が遊びを通じて交流を深め、互いをたたえる英国発祥のフェスティバルを横浜でも実現しようと、支援団体らが一歩目を踏み出した。

 1月に開催したプレイベントには200人以上が来場。スタッフたちは「仲間を増やしていきたい。これからが勝負」と意気込んでいる。

 「みんなで一緒に、楽しい時間にしよう!」

 マイクを握るヤングケアラーの子どもが節を付けて呼びかけると、会場が笑い声と歓声に包まれた。1月末、横浜市役所で初めて開催された「横浜ヤングケアラーズプレフェスティバル」の一幕。ステージ前には、子どもたちがスタッフや来場者と共同制作したアート作品が並んでいる。

 原型は英国で生まれたヤングケアラーズフェスティバル。全土から子どもが集まり、移動遊園地や音楽ライブもあるキャンプを楽しむ。日頃頑張る自分たちをたたえると同時に、ケアから離れ「子どもらしさ」を取り戻す日という。

 横浜でもやってみようと、昨年秋にプロジェクトが始動。ヤングケアラーの居場所をつくる一般社団法人Omoshiroなど、三つの団体・企業が連携して準備を重ねてきた。将来的な本格実施を見据えた第一歩という意味を込めて「プレ」を付けた。

 プレイベントには二つの目的がある。一つは、かわいそうというネガティブなイメージが先行するヤングケアラーを正しく知ってもらうことだ。Omoshiroの青木大三理事は「子どもらしい時間が必要だということと同時に、相談できる大人とつながって楽しく過ごせていることも知ってほしい」と話す。子どもたちにアート制作の「先生役」を担ってもらったのは、来場者に直接交流してもらいたいとの狙いがある。

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