待ち望んだ385日ぶりの勝利「完璧な始まり。マシンの速さを証明した」とMスポーツのミルナー代表

 レッドブルカラーのフォード・プーマ・ラリー1が、1年と20日ぶりにWRC世界ラリー選手権の優勝マシンとなった。オット・タナクとマルティン・ヤルヴェオヤのコンビによる『ラリー・スウェーデン』での勝利は、Mスポーツ・フォード・ワールドラリーチームに「シーズン序盤の最高の弾みをつけた」と、チーム代表のリチャード・ミルナーは語った。

 2月9日から12日にかけて行われた2023年シーズン第2戦スウェーデンは、同国北部の都市ウメオを拠点に行われた。シーズン唯一の“フルスノーラリー”である同イベントでは、今年古巣であるMスポーツに復帰したタナクが移籍後初優勝を達成。彼が昨年Mスポーツのエースを務めていたクレイグ・ブリーン(ヒョンデi20 Nラリー1)に18.7秒差をつけ、雪と氷の上で繰り広げられたスリリングな4日間の戦いを終えたとき、イギリスの名門ラリーチームは歓喜に湧いた。

 Mスポーツが待ち望んでいた勝利の瞬間だった。彼らは2022年の開幕戦『ラリー・モンテカルロ』でセバスチャン・ローブが優勝して以来、385日間も勝利から遠ざかっていたのだ。

 チームにとって歴史的な瞬間を迎えた後、ミルナーはWRC.comに対し「長い間、この瞬間を待っていた」と語った。

「私たちが週末の最後に勝利に向けて挑戦してから12カ月以上が経ってしまった。オット(・タナク)の優勝は、我々のクルマの速さを証明している」

「彼が成し得たこと、とくに土曜日の午後から日曜日にかけての彼の活躍は見ていて素晴らしいものだった。(2022年の)厳しい1年を終えて、皆と一緒に優勝を祝えるのは本当に素晴らしいことだ」

「私たちはここに来て、できる限りのことをしたと思う。そして今年ふたつめのイベントで勝利を手にした。これは完璧な(シーズンの)始まりだ」

Mスポーツ・フォード・ワールドラリーチームのリチャード・ミルナー代表

 タナクはスウェーデンでの勝利により、現王者のカッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)を3ポイント上回りドライバーズランキングトップに立った。これは彼が次戦第3戦メキシコで、グラベル(未舗装路)ステージの道を開いていくことを意味する。

 スノーラリーと同じくグラベルラリーでは通常、先頭走者はステージの“掃除役”になるため不利になる傾向にあるが、ミルナーは心配していない。

「メキシコでの出走順について、人々はすでに語り始めているだろうが、私たちにとってはまったく関係ない」と同氏。

「ポイントは獲得できるうちに取らなければならない。我々の目標は、ラリーごとにそれを取ることだ」

 トヨタ、ヒュンダイを経て、今シーズン初めにMスポーツに復帰した2019年のワールドチャンピオンは、この成功は真のチームワークのおかげであると述べた。

「新しいクルマに乗り込み、彼らのために結果を出すことは、明らかに僕にとって大きな意味がある」とエストニア人は付け加えた。

「(トヨタやヒョンデのような)大手メーカーを相手に戦うことは、(セミワークスであるMスポーツにとって)大きな努力をともなう」

「彼らは僕から相当なストレスを受けていると思う。でも、それがもたらされている限り僕ら全員が勝利している。このチームの一員であることは素晴らしいことだ」

古巣復帰2戦目で優勝したオット・タナク/マルティン・ヤルヴェオヤ組(フォード・プーマ・ラリー1) 2023年WRC第2戦ラリー・スウェーデン
喜びを爆発させるMスポーツ創設者のマルコム・ウィルソン

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