特殊詐欺被害3億円超 2022年栃木県警まとめ 「おれおれ」が大幅増

 栃木県警は15日、2022年に認知した特殊詐欺の被害件数が前年比21.5%(29件)増の164件、被害額が11.7%(3187万円)増の3億324万円に上ったと発表した。額が前年を上回ったのは5年ぶり。ATM利用額の制限設定の拡大を受け、被害者から直接多額の現金をだまし取る「おれおれ詐欺」が27件増で1.7倍の68件と大幅に伸びた。県警は深刻な情勢と捉え警戒を強めている。

 手口別ではおれおれ詐欺が3年ぶりに最多だった。封筒に入ったキャッシュカードを別のカード類とすり替える「キャッシュカード詐欺盗」が51件、キャッシュカードや通帳などをだまし取る「預貯金詐欺」は20件といずれも減少した。

 おれおれ詐欺は認知度が高まり摘発リスクが大きくなったため、過去2年はキャッシュカード詐欺盗が最多だった。だが県内金融機関が高齢者の1日のATM引き出し限度額を10万〜20万円以下とするなど対策が進み、犯人側はおれおれ詐欺の方が多額を狙えるとみて回帰しているという。

 被害額では、おれおれ詐欺が1654万円増の1億6272万円に上った。キャッシュカード詐欺盗が6053万円で続いた。

 摘発件数は49件減の170件、摘発人数は7人減の61人。摘発された現金の受け取り役は否認、黙秘する傾向があり、全国で相次いだ広域強盗事件で見られるように、交流サイト(SNS)のやりとりも摘発時には時限設定で削除されていることが多い。このため余罪の立証や共犯者の捜査が困難になっているという。

 金融機関などでの水際阻止は163件で、額は約1億441万円。県警は昨年10月から高齢者宅を訪問して注意喚起する「サギ・撃隊」の活動を開始した。担当者は「最近はアンケートなどを装い、事前に資産状況や家族構成を聞き出そうとするので注意してほしい」と呼びかけている。

 

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