<半導体>人材育成・確保「待ったなしの課題」 2023年度 長崎県予算案点検

ながさき半導体ネットワークの総会後は企業や教育関係者が名刺交換する姿も見られた=長崎市大黒町、ホテルニュー長崎

 2030年までに100兆円規模に倍増(20年比)すると言われる世界の半導体市場。長崎県でもSUMCO、ソニーグループの県内拠点への投資拡大や京セラの新工場建設など関連企業の動きが活発化している。県は、今後5年間で増える半導体関連の県内雇用を2700人以上と見込み、人材育成・確保は「待ったなしの課題」(松尾誠司産業労働部長)だ。
 こうした課題に産官学で取り組むため「ながさき半導体ネットワーク」が昨年2月に発足。初の対面方式で開いた今月13日の総会で、中島寛会長(佐世保工業高専校長)は「キーワードは連携。企業と大学が一対一で人材を育てるくらいのスタンスが極めて重要になる」と力説した。
 企業側の危機感も強い。イサハヤ電子(諫早市)は昨年12月、長崎総合科学大と連携し、ものづくりを体験できる子ども向けのワークショップを企画。人事部の近藤あや子部長は「この5、6年で理系人材の採用に苦労している。地道ではあるが、まずは地元の子どもたちに業界や会社について知ってもらうことが必要」と話す。今後も教育機関や行政と連携を深め、地元でのPRを継続する考えだ。
 県も新年度、県内の関連企業と大学などの連携促進に乗り出す。今年9月に長崎市内で両者のマッチングイベントを開催。大学などと新たな共同研究に取り組む企業に対し、研究費などを一部補助する。
 さらには未経験者のキャリアチェンジも促す。県によると、関連人材の需要増や人口減少で人手が不足し、経験者を確保するのは容易ではない。正規就労を前提に給与を受け取りながら2カ月勤務体験する制度や、専門業者による養成講座で人材を育てる方針だ。


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