ウイングなしのRC213Vに「どう思う?」とマルケス。HRCの二輪・四輪の活動統合とスズキ勢加入でどう変化するのか

 2月10~12日、マレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットでMotoGPセパン公式テストが行われたが、最終日にはマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)とテストライダーのステファン・ブラドルがウイングなしのマシンを走らせた。

 2022年に未勝利で終わったホンダ勢は、巻き返しを図るべくテストで多くのパーツを持ち込んだ。まずは昨年最終戦バレンシアGP後の公式テスト、1月にはヘレスでステファン・ブラドルがプライベートテストを行い、このセパンシェイクダウンテストと公式テストに到着した。

 2023年からアクラポビッチとの契約を発表し、完全チタン製のエキゾーストシステムを装備したことが分かっているが、そのほかにも2023年型のエンジンやシャシー、空力パーツなどを多くセパンに持ち込んで、マルケスは4台のマシンの比較にも取り組んでいる。

HRCに加入した河内健テクニカルディレクター/2023MotoGPセパン公式テスト

 ライダーもマルケスと中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)は継続であるが、ジョアン・ミルとアレックス・リンスが撤退したスズキから移籍。さらにスズキでテクニカルマネージャーを務めた河内健氏が、ホンダ・レーシング・コーポレーション(HRC)に加入して同じくテクニカルディレクターに就任したことが明らかとなった。

 そのうえ、HRCが二輪と四輪のモータースポーツ活動を統合したことから、「ダウンフォースの空力特性がますます重要になってるMotoGPで、ホンダがF1やスーパーGTで培ってきた四輪の技術を活かしていく」としている。

 テスト3日目に、マルケスは「コンセプトのレベルにおいて、多くのことを理解したいと考える新任のテクニカルディレクター(河内氏)がいる。そのことで非常に困難な状況になっている。僕はホンダで最も経験があるライダーだから、全ての実験を実行するために僕が選ばれた。彼らには理由があり、僕は走ることに限定された。彼らの役に立つことを願う」と語っている。

 河内氏は、ブラドルが参加した3日間のシェイクダウンテストからホンダのピットで仕事を行っており、河内氏のノウハウも活かされることになった。ホンダは河内氏が「新型RC213Vのファインチューニングに取り組み、すでにライダーやスタッフと良好な関係を築いています」とテストレポートで述べている。

ステファン・ブラドル(レプソル・ホンダ・チーム)/2023MotoGPセパン公式テスト3日目

 また、マルケスは3日目にウイングなしのホンダRC213Vを走らせたが、「ウイングなしでトラックに飛び出すのは、僕の考えではない。彼らにそう伝え、ソフトタイヤを履くときにそうした」と説明した。

 さらに自身のSNSでそのマシンに乗る写真とともに「懐かしい。あなたはどう思う?」と投稿している。ウイングがMotoGPで主流になったのは2015年後半頃からで、確かに現在のMotoGPマシンに空力パーツがないことは懐かしくもあるが、奇妙でもある。

 HRCとして四輪の技術も使われ、ミル、リンス、河内氏加入によりスズキでの知見も活かされることになるだろう。ホンダがウイングなしのマシンをテストした意図はわからないが、再起への一歩となることを祈る。

テストライダーのブラドルは、ウイングがないマシンを走らせていた

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