悪魔払いして豊作願う…760年前から続く「水海の田楽能舞」、雪降る福井県池田町で舞奉納【若越画報】

豊作を祈った「阿満」=2月15日、福井県池田町水海の鵜甘神社
水海川で身を清める舞人=2月15日、福井県池田町水海

 福井県池田町水海の厳冬の伝統行事「水海の田楽能舞」が2月15日、新型コロナウイルスの影響による中止を経て3年ぶりに、同町の鵜甘神社で奉納された。中学生からお年寄りまでの地域住人が田楽と能舞を厳かに演じ、観客を幽玄の世界へと誘った。

 田楽と能舞の二つの芸能を奉納する「水海の田楽能舞」は約760年前から住民によって受け継がれ、国の重要無形民俗文化財。鎌倉時代に雪で同町に足止めとなった北条時頼に、村人が田楽を舞って慰めたところ、返礼として能舞を教えたのが始まりとされる。

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 3年ぶりの今回は10~70代の44人が舞人や衣装などの役割を担当。演者は2月3~13日、1日1時間半ほど稽古に励んだ。舞人のうち3人は13日から、他人が作った料理を食べずに社務所で寝泊まりする「別火」を行った。本番の15日正午には雪が降りしきる中、下帯姿で神社近くを流れる水海川に入り身を清めた。

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 神社に移動し神事を営んだ後、厳かな雰囲気の中、打楽器のビンザサラや笛、太鼓、鈴などを打ち鳴らし、悪魔払いをして豊作を祈る「阿満(あま)」など田楽4番と、天下太平を祈る「式三番」など能舞5番を奉納。地元の児童ら見物客を魅了していた。

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