沖縄に国立自然史博物館を 誘致へ本腰、県民会議設立へ

 国内の科学者らが沖縄への設立を求める国立自然史博物館の誘致に向け、県は玉城デニー知事を筆頭に取り組みを強化している。プロジェクトチームを設置し、部局横断的に推進。2023年度に民間を含めた県民会議を設立し、県民機運の醸成を図る考えだ。

 生物多様性の宝庫であるアジアには自然史に特化した拠点がなく、沖縄が学術的、地理的に適地とされている。研究・教育機関と連携した人材育成と集客や雇用といった観光・経済への波及効果なども狙う。

 玉城知事と副知事、全部局長で組織する連絡協議会を14日に初開催して県民会議の設立など方針を確認した。標本収集を踏まえた研究・教育という自然史博物館の意義を共有した。

 玉城知事は「加速度的に取り組みを進めていく必要がある。関係部局が連携し、実現に向けて取り組んでほしい」と述べた。出席者からは、民間主導での県民会議が設立・誘致に不可欠との指摘が上がった。

 国立自然史博物館については、日本学術会議が10年に国内への設立を提言。11年の東日本大震災で被災地などで標本が喪失したことを踏まえ、17年に沖縄への設立を提言し、20年には優先順位が高く可及的速やかに進めるべき計画と位置付けた。有識者らは16年、国立沖縄自然史博物館設立準備委員会を組織している。

 県は19年の沖縄21世紀ビジョン基本計画、22年の新・沖縄21世紀ビジョン基本計画で誘致に努めることをうたっている。22年度からは経済、観光、学術関係団体などの実務者と国、市町村で構成する事業推進会議も設置して設立・誘致のための効果的な手法を探っているほか、シンポジウムを開くなど機運醸成に努めている。

 (安里周悟)

© 株式会社琉球新報社