V長崎、新戦力が存在感示す 「熱いサポーターの歌が力に」 サッカーJ2

【V長崎―千葉】前半9分、V長崎の増山が相手をフェイントで揺さぶり、クロスを上げる=諫早市、トランスコスモススタジアム長崎

 Jリーグ30周年を迎える今季。ちょうど10年前、2013年にJリーグ入りを果たした「後発組」のV・ファーレン長崎は、リーグ創設期から参戦する「オリジナル10」の一つ、ジェフ千葉と開幕戦で相まみえた。結果は0-1で黒星。“大先輩”に軍配が上がった。
 両チームともに開幕戦特有の雰囲気にのまれることなく、準備してきた戦術をぶつけ合った。千葉が丁寧につなげば、V長崎は強力ツートップにパスを預けて突破口を探る。V長崎は途中までチャンスの数で上回っていたが、先に失点して苦戦を強いられた。
 ただ、この日出場した新加入選手6人は存在感を示し、敗れてなお昨季からの上積みを感じさせたのは確かだ。最前線のフアンマは前線の収めどころとして機能。左DFにコンバートされた増山、途中出場の宮城や名倉は攻撃の選択肢を増やした。刷新された最終ラインも崩されたシーンは少なく、主将の米田は「できていた部分は自信を持っていい」と前を向く。
 足りなかった点に、ゴール前の工夫と迫力が挙げられる。キャンプ時はゴール前でワンタッチパスでつないで崩す形を繰り返し練習していたが、いざ公式戦となると中盤の2人がうまく絡めず、攻撃に厚みを生み出すことができなかった。ゴール前のこぼれ球で後手に回ったのも反省点。フル出場した増山は「決めるべきシーンはたくさんあった」と悔しさを糧に次戦の勝利を誓う。
 ファンにとっては待ちに待った今季の初戦。強く、冷たい雨が降りしきる中でも客席にはコロナ禍以降で最多となる1万1165人が来場し、全面解禁となった声出し応援で思いをぶつけた。トラスタを大歓声が包み、新加入のGK波多野は「熱いサポーターの歌が力になった」と応援の力をかみしめていた。


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