“人間力”培った3年間 ラグビー・白丸智乃祐(長崎北陽台高→筑波大) <心新たに 2023年春・3> 

「あのメンバーだったから、花園で8強に入れた」と語る白丸=西彼長与町、長崎北陽台高グラウンド

 2年生の冬、全国高校大会(花園)準々決勝で敗れ、自宅に戻った1月初旬。部屋の壁に目標を書いた紙を貼った。
 「高校代表に選ばれてレギュラーで出る」
 長崎北陽台の白丸智乃祐は今、26人の高校日本代表に選ばれ、目標の「半分」を達成した。あとは3月のアイルランド遠征で桜のジャージーを着てスタメン出場すれば、自身の高校ラグビーを最高の形で完結できる。
 高校3年間、すべて花園のグラウンドに立ち、ロックとして計9試合にスタメン出場した。1年時は3回戦、2、3年時は準々決勝まで進出。身長184センチ、体重105キロの堂々たる体を生かして前に出続け、3年時はチームの主将を任された。
 順風満帆に見える競技人生。でも、3年間で最も印象に残っている試合は負け試合だ。「1年の冬の東海大大阪仰星戦。すべてにおいて負けた。やっぱりラグビーはコンタクトだなと痛感した」。忘れられないのは自らが活躍して勝った試合ではなく、あの力負けした一戦。その経験が意識を変えた。屈強な体をつくるために必死になった。結果、3年時は接点の攻防で誰にも負けない選手に成長した。

高校3年間で花園の9試合にスタメン出場、6勝をマークした白丸=大阪府東大阪市、花園ラグビー場

 「自分が持っていないものを持っている」というチームメートの存在も大きかった。今回、一緒に高校日本代表入りした身長191センチのフランカー亀井秋穂は、友人であり、ライバル。「正直、秋穂だけ代表に選ばれたら恥ずかしいなと思っていた。負けられないという意識があった」。だから、そろって選出された時は「安心した。素直にうれしかった」。
 卒業後は関東大学対抗戦の筑波大に進む。「1年からスタメンで出る」という目標もあるが、ラグビーだけが人生のすべてだとは考えていない。「夢は教師になること。高いレベルでいろんなことを学んでいきたい。いずれはラグビー部の顧問になりたい」。中学のころから、それは一度もぶれていない。
 高校時代、一番鍛えられたのは「メンタル面」だと言い切れる。「人のために何ができるのか。生活面でのごみ拾いとか掃除とか、人の目に映らないところで仕事をする。それがラグビーのプレーにつながると北陽台で教わった」。3年間で培った人間力をベースに、世代トップレベルのFWは地に足をつけて成長を続ける。

 【略歴】しろまる・とものすけ 諫早市出身。真城中1年から長与ヤングラガーズで本格的にラグビーを始め、長崎北陽台高で1年秋からレギュラー。3年連続で花園に出場した。ポジションはロック、ナンバー8。2年時から高校日本代表候補で、3年時は代表入りした。卒業後は筑波大に進む。大切にしている言葉は「笑顔が一番」。尊敬している人は長崎北陽台高の浦敏明コーチ。184センチ、105キロ。


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