福井県知事選挙告示まで1ヵ月 現職の杉本達治氏に共産の金元幸枝氏が挑む、2023年統一地方選挙皮切り

県政報告会後、参加者とグータッチする杉本達治氏(左)=2月9日、福井県福井市の福井問屋センター
記者会見を開き、3度目の知事選挑戦を表明する共産党新人の金元幸枝氏(左)と党県委員会の南秀一委員長=2月14日、福井県庁

 統一地方選挙の皮切りとなる3月23日の福井県知事選挙告示まで1カ月となった。再選を目指す現職の杉本達治氏(60)に共産党新人の金元幸枝氏(64)が挑む構図。県内政党や各種団体の支持が割れた前回から一転、杉本氏は自民、立憲民主、公明などから推薦を受け、盤石の体制を築きつつある。金元氏は原発の60年超運転や新増設への反対、北陸新幹線の敦賀以西延伸の凍結を訴え、対立軸を明確にする。

 杉本氏は昨年12月、定例県会で出馬を正式表明。その日のうちに県町村会が早々と推薦を決定し、県会閉会日には最大会派の自民党福井県議会が推薦状を手渡した。4年前の保守分裂選挙では自民会派が割れる事態にまで発展したが、仲倉典克会長は「4年間、われわれも知事を信頼してやってきたし、それに応えてくれた」と良好な関係を強調した。

 前回選で当時現職の西川一誠氏を支持・推薦した立憲民主党県連や連合福井、日本商工連盟も今回はすんなりと杉本氏を推薦。どの候補も推薦しなかった県市長会、自主投票だった公明も推薦を決めるなど、主だった団体がこぞって“相乗り”する状態に、自民党関係者は「オセロゲームのように一気にひっくり返った」と表現した。

 「4年前の4月7日、選挙戦直後からノーサイドと申し上げてきた。『ノーサイドなんてできっこない』と相当言われたが、地道に頭を下げ、どちら側の皆さんにも一緒にやりましょうと進めてきた」。杉本氏は19日開かれた後援会連合会の事務所開きでこう述べ、幅広い支持を得た「県民党」である点を強調した。

 全17市町に後援会を立ち上げ、推薦の数は700を超えた。1月7日から県政報告会を各地で開くなど着々と準備を進めている。後援会連合会の清川忠会長は「4年ごとに選挙戦のことを心配せず、集中して県政運営に当たることができるような得票が目標」と勝ち方にこだわる考えだ。

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 共産党公認の金元氏は2015、19年に続き3回目の知事選挑戦。党県委員会は21年の衆院選では立憲民主党県連と連携したが、福井県知事選は共産党以外の政党が現職に相乗りする構図が多いため、野党共闘ではなく、党独自の候補擁立を模索した。

 今月14日の出馬会見。金元氏は政府が昨年末に安保関連3文書を閣議決定し、防衛費の大幅増を盛り込んだことなどに触れ「今回ほど、国にはっきりとものを言わなければならない選挙はない」と力を込めた。

 杉本県政は原発を積極活用する政府方針を容認していると厳しく批判。北陸新幹線敦賀以西の延伸にも「新幹線のような大きな事業にお金をつぎ込むのではなく、小中学校の給食や子どもの医療費の無料化など暮らしの要望に応える政治を目指す」と訴え、対決姿勢を鮮明にした。

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 毎週月曜にはJR福井駅前で街頭活動を行い、政策を地道にアピールする。支援者へのあいさつ回りを始め、支持拡大に向けて動きだしている。19日には県労連など主催の「もう黙ってられない! 怒りの県民集会」に出席し、気勢を上げた。今後も市民団体を中心に支持を広げていく方針だ。

 党県委員会は選挙対策本部を既に立ち上げ、3月4日には福井市内で事務所開きを予定している。県議選とも連動しながら票の掘り起こしに努める考え。「政策で相手候補を圧倒し、県政を変える」(南秀一委員長)と士気は高い。

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