日本の伝統芸能を交流のきっかけに 「ブラジル神楽団」の研修員3人が本場・神楽の舞台で修行 1か月の練習成果は⁉

ブラジルで活動する神楽団のメンバーが、広島県 安芸高田市で本場の神楽を学んでいました。練習の成果をお披露目する会が23日、開かれました。

広島神楽の聖地・安芸高田市…。広島県内トップクラスの実力を誇る地元の神楽団とともに 舞っていたのは、日系ブラジル人の3人です。

サンパウロ市の「ブラジル神楽団」に所属している 宮原カロリーナ綾さん、笹木エミレ良江さん、モスタソ・バーホス・ワグネルさんです。約1か月間、「横田神楽団」の指導のもとで練習に励み、成果を披露しました。

ブラジルへの移民が全国で最も多い広島では、神楽を通じた交流が長年続いてきました。ブラジル神楽団は、JICA(国際協力機構)の研修プログラムで、これまで2度、安芸高田市を訪れていましたが、コロナ禍の影響で4年ぶりの来日です。

JICA中国 菊入香以 さん
「それぞれ技術をあげて、国の発展に貢献してもらう。日本とのつながりを大切にしてもらう」

寒さがひときわ厳しかった本番2日前…。3人は、地元の小学校を訪ねました。研修では、神楽だけでなく、日本の文化に触れる機会も設けられます。一方、子どもたちは、神楽や外国のことについてあまり多くは知りません。

モスタソ・バーホス・ワグネルさん
「実は初めて雪をみた。ブラジルは今、夏。とても暑い」

3人は、ブラジルの気候や食文化・観光地などを紹介しました。

神楽のけいこの様子も見てもらいました。大太鼓や笛のリズムにあわせ、3人もこんな様子です。

神楽を始めたきっかけについて、子どもたちに聞かれると…

笹木エミレ良江さん
「16年前、ブラジルで神楽を見た。母が、家族みんなで(神楽を)やろうと」

笹木さんの呼びかけで、ほかの2人もブラジル神楽団に所属したそうです。

宮原カロリーナ綾さん
「(神楽は)かっこいい。物語の主人公をもっと知りたい」

児童たち
「ブラジルまで神楽の伝統が伝わっていて、すごい」
「わたしたちも神楽を受け継いで、魅力などを広めていきたい」

3人は、ブラジルでは買うことができない神楽奏楽の「笛」を求め、広島市の湯来町へと向かいました。経験が浅いこともあってか、はじめは思うように吹けません。

研修では、笛に触れる機会が少なかったものの、響き渡る美しい音色に魅了されます。

迎えた23日の発表会。3人ともどこか緊張した面持ちです。本格的な衣装を着て、本番です。課題の演目「紅葉狩」を舞いました。

約40分間、最後まで演じ切りました。研修の成果が発揮されました。

宮原カロリーナ綾さん
「いろいろな気持ちがあふれ出して、とても楽しかった。完璧。気持ちは完璧」

将来は、母国で神楽を継承する指導者の立場へ…。3人は25日、ブラジルに帰国します。

― 3人は、研修の間、「神楽門前湯治村」で仕事の手伝いをしたほか、餅つきや温泉の番台など多くの日本文化に触れたました。サポートしてくれた全てのメンバーに対し「楽しい経験をさせてもらい、ありがとうございました」と話していました。

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