飲み薬、塗り薬使っても1カ月以上かゆい 加齢や気温変化も原因…治すのに効果的な入浴時のケア方法とは

加齢や気温変化も原因…飲み薬も塗り薬使っても1カ月以上かゆい

 2カ月ほど前から急に体がかゆくなりました。皮膚科に行くと「歳だから」と言われました。飲み薬と塗り薬を処方されましたが、1カ月過ぎても治らず、毎日かゆくてつらいです。かゆみを和らげるためにできることを教えてください。(80代女性)

【お答えします】加畑雄大福井赤十字病院皮膚科副部長

乾燥でバリアー機能低下

 皮膚は外気に接しているため環境によって状態も変化します。夏から冬へと気候が変化することで空気が乾燥し皮膚へも大きく影響します。夏は60~70%の湿度が冬には40~50%程度へ低下します。暖房器具の使用により、部屋の中の湿度はさらに低下して汗をかきにくくなり、皮膚がカサカサしてきます。皮膚が乾燥している状態のことを皮膚科では「皮脂欠乏症」と呼びます。皮膚のバリアー機能が低下することで、少しの刺激でも炎症を起こし、かゆみや赤みを引き起こします。加齢とともに皮膚が保持できる水分量も低下し、台所仕事による手荒れも悪化しやすくなり、静電気による刺激でも皮膚がかゆくなってきます。

入浴時にケア、皮膚に水分を

 対応はさまざまですが一番効果的なのは入浴時のケアです。ぬるめのお湯につかって体を温めつつ、皮膚へ十分な水分を供給します。入浴後は優しく体を拭き、湯冷めしないうちに保湿剤を全体に塗ります。保湿剤を塗ることで皮膚に蓄えた水分が蒸発しにくくなり、しっとりとしてきます。保湿剤にはさまざまなものがありますが、ドラッグストアなどで売っているもので構いませんので、是非毎日しっかりと塗ってみてください。また、ナイロンタオルなどで体を強くこすると、皮膚が傷つきより乾燥してしまうため注意が必要です。

 それでもよくならない場合は、お近くの皮膚科を受診してください。治りにくい湿疹や乾燥肌のような病変が出現する「菌状息肉症」という疾患があります。低悪性度リンパ腫に分類される疾患の一つで、多くの場合は安定した状態で経過しますが、十数年かけてゆっくりと進行する場合もあります。早期の病変は湿疹に酷似しており、ベテランの皮膚科医でも診断が難しく、皮膚所見や病理組織所見を参考にして経過をみないと最終診断に至らないことがあるため、定期的に通院することが大切です。

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 他にも体にかゆみを生じる原因は数多くあります。日常で使用しているものが関わっていることもありますので、日々のケアを十分にし、健康な皮膚を保つようにしてください。

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