綾瀬はるかさんに聞く “平和や未来のこと” 単独インタビューに「戦争になったら何が起きるのか想像して」 戦争体験者の声に耳を傾け続け

河村綾奈 キャスター
「広島国際会議場内のホールに続々と広島の中学生・高校生たちが入っていきます。G7広島サミットを前に、女優の 綾瀬はるか さんを招いてユースフォーラムが行われます。学生たちは未来について、戦争について、どんなことを考えるのでしょうか」

広島市で26日に開かれたユースフォーラム。そこに登場したのが、広島市出身の 綾瀬はるか さんです。TBS「news23」の特別企画で各地の戦争体験者の声に耳を傾けている綾瀬さんが、中高生と一緒に平和や未来について考えました。そして、RCCの単独インタビューにも応じ、戦争体験者の声を聞き続けることや、中高生たちに期待することなどについて語りました。

綾瀬はるかさんは、10年以上にわたり自身の祖母をはじめ、広島・長崎の被爆者や戦争を体験した人たち60人以上の声に耳を傾けています。

綾瀬はるか さん
「わたしの祖母の姉も被爆して亡くなっていて、みんな、話したくないっていう思いがある中で、でも『伝えていかなきゃいけない』と話してくれて」

河村綾奈 キャスター
「何度も綾瀬さんが涙をされている姿も印象的でした。受け止めることにも綾瀬さん自身、すごくエネルギーを必要とされるんじゃないですか」

綾瀬はるか さん
「話すことで当時の記憶がよみがえって、とてもつらい経験をされているのに一生懸命、語ってくださる方の気持ちを受け止めると、最初はわたしも苦しいなって思うこともあったんですけど、貴重なお話を聞かせていただいてるので、しっかり受け止めていきたいなと思って続けさせてもらっています」

フォーラムでは、綾瀬さんとともに登壇した広島の高校生も被爆体験の継承に向けた取り組みを紹介しました。その1つが、広島市立舟入高校の演劇部です。

舟入高校の前身、広島市立第一高等女学校は、広島の学校の中で最も多くの生徒が原爆で犠牲になりました。演劇部は、原爆の残酷さや平和の大切さを劇を通して訴えていこうと、1969年から半世紀以上にわたり原爆劇を上演しています。4年前からは、生徒が発信するものは、自らが調べ構成していくものとして、脚本からすべてを生徒自身が考えています。

舟入高校演劇部 柴田優月 部長
「いっぱい知っておかないと表現することもできないですし、自分の知識量のなさを痛感することが多いです」

フォーラムで柴田さんたちは、自分たちの活動を紹介し、「立ち止まることなく、原爆劇のあり方も含めて考え続けていきたい」と訴えました。

綾瀬はるか さん
「高校生のみんなが演劇をするためにたくさん調べて、物語を紡いでいっていることを知って、すごく驚きましたし、頼もしいなって感心しました」

河村キャスター
「実は、わたしも舟入高校の出身で、実際に原爆劇を高校時代に見ていて、衝撃を受けたのをよく覚えています」

綾瀬はるか さん
「そうなんですね。演劇でもそうですけど、みなさんがそれぞれ考えて、伝えることはよりパワフルだったし、頼もしかった。若い人が考えて伝えることが、さらに大きな力になって、もっと若い世代の人にも広がっていくんじゃないかな」

フォーラムには、去年の企画で綾瀬さんが出会った、被爆者の 田中稔子 さん(84)の姿もありました。

綾瀬さんが考える「平和のために必要なこと」とは

G7広島サミット ユースフォーラムには、6歳のときに被爆し、世界各地で体験を証言している田中稔子さん(84)さんの姿もありました。

綾瀬さんは、去年の企画で田中さんと出会いました。ロシアのウクライナ侵攻が続く中で、現地で証言したことのある田中さんに話を聞くためです。

綾瀬はるか さん
「今、ウクライナ侵攻があったりする」

田中稔子 さん
「同じことを77年経って、やっている。昔と同じ戦争が目の前で繰り広げられて、普通の人が亡くなっている。被爆者としては非常に悔しいですよね」

会場では、綾瀬さんが取り組んできた企画を特別に編集したVTRも上映されました。会場の中高生からも綾瀬さんに質問が寄せられました。

高校生
「これからどういうような活動をしていくのか、または、どういう人にお話を聞こうと思っているのか、聞きたいなと思いました」

綾瀬はるか さん
「こういうふうにお声をかけてくださったら、わたしのできることだったら参加したいなと思っています。被爆者の方も少なくなり、聞ける機会があったら、お話を聞かせていただきたいなと思っています。それをまた、こうして、みなさんとともに共有できたらいいなと考えています」

参加した中高生もいろいろなものを受け取っていました。

中学生
「敵・味方関係なく、みんな悲しむというのが戦争なんだなって思って、戦争って本当にしてはいけないなって心から思いました」

中学 2年
「もっと世界の人たちに伝え続けていかないといけない」

高校 3年
「自分だけじゃなくて、誰かと一緒に、人を巻き込んで考える機会や発信することができたら」

中学 1年
「バトンをつないでいくことが大切だと思ったので、わたしが家族や友だちに話していきたい」

綾瀬さんも会場にいる中高生の姿に頼もしさを感じていました。

綾瀬はるか さん
「田中さんや高校生の話にすごく真剣に耳を傾け、メモをしている子もいて、すごく平和に関心があって、すごいなって思いました」

河村キャスター
「平和のためには何が一番必要だと思いますか」

綾瀬はるか さん
「被爆者の方がおっしゃっていた言葉で『とことん話し合いなさい』『想像力を持ちなさい』という言葉がすごく残っていて。戦争になると何が起きるのかと想像して、身近の大事な人が亡くなったらどんなに悲しいか、今の生活がなくなったらどれだけ悲しいかってことを想像して、ちゃんと話し合って、受け入れて、みんな違うという考えを尊重し合って、ベストな方向に話し合ってくっていうことが、1番大事だと感じている」

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