車150台所有のブラジル人…自動車登録で名義偽装、容疑の中古車販売業の男逮捕 組織性視野に捜査

押収した不正登録車両=28日午前9時37分ごろ、埼玉県警熊谷署

 実際に車に乗る人物と異なる別の人物を登録する虚偽の申請をしたとして、埼玉県警国際捜査課、組織犯罪対策課と熊谷署の合同捜査班は28日、電磁的公正証書原本不実記録・同供用の疑いで、群馬県伊勢崎市野町、中古車販売業の男(30)を逮捕した。

 逮捕容疑は共謀し、2021年11月16日、20代のベトナム人の男が使用・保管する中古車1台を50代のブラジル人男性名義で関東運輸局群馬運輸支局に申請し、登録させた疑い。ベトナム人男は不法残留で、この車を無免許運転したとして県警に逮捕された。

 国際捜査課によると、不正なクレジットカードを使い買い物をした詐欺容疑で、県警が昨年10月と今年1月に逮捕したトルコ籍の男の被告(41)を捜査する過程で、被告がブラジル人男性名義の車両を乗り回していたことが判明した。

 その後、詐欺事件と車両捜査を並行し、県内の不法残留で摘発された複数のベトナム人らが使った車両や逃走・放置車両の名義から、頻繁に出てくるブラジル人男性の名前を把握。運輸局と協力して申請から登録、車両の行き先などの内偵捜査から、中古車販売業の男らの関与を特定した。

 ブラジル人男性が使用の本拠地として申請した場所は、伊勢崎市内の車庫証明書のいらない地域で、実際には住んでいない場所だった。自動車保管場所法の規定で、車の登録台数や交通量が少ない地域では車庫証明書がなくても申請できる。また証明書の不要な地域では運輸局に届け出すれば、警察の介入がなくても車の登録が可能。中古車販売業の男らは、これらの仕組みを悪用したとみられる。    ブラジル人男性名義の車両は約150台が確認され、中には不正登録された車もあるという。その一部は無車検や無保険、保管法違反の状態で犯行車両として使用されたとみられ、県警が実態解明を進めるとともに、中古車販売業の男に不正登録を依頼する指南役がいる可能性があり、組織性を視野に調べている。

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