長崎県内公立高 卒業式 マスク着用の判断分かれる

 卒業式シーズンが本格化する3月。国の方針を受け、県教委は「卒業生と教職員はマスクを外すことを基本とする」と2月に県内21市町教委などに通知したが、ほとんどの市町は最終判断を学校に委ね、各小中高校の対応にはばらつきがある。
 1日、長崎市竹の久保町の県立長崎西高。ほとんどの卒業生がマスクを着用したまま会場を後にした。同校は、多くの卒業生の進路が確定しておらず受験を間近に控える人もいることから「基本的に着用」と判断。生徒や保護者から心配の声も寄せられたという。入退場時は卒業生に判断を任せたが、実際にマスクを外したのは1割程度にとどまった。
 対照的に、長崎市立山5丁目の県立長崎東高は、入退場時にほぼ卒業生全員がマスクを外した。新型コロナウイルス禍が始まって以来初めての校歌斉唱はマスクを着けて臨んだ。
 国の方針は「児童生徒や教職員はマスクを外すことを基本とする」。ただ、県教委は在校生にはマスク着用を求めた。その上で▽歌の斉唱や呼名など声を発する場合は着用▽壇上での卒業証書授与や送辞、答辞などは外して差し支えない▽参加人数の制限は必要ない-などと通知した。各市町教委は、出席者の制限などで多少違いはあるものの、ほとんどが「各学校の実情に応じた判断」を求めた。
 佐世保市立日宇中は、受験が続く生徒がいるかもしれず、3年生が197人と多いことも踏まえ「リスクが高い」として着用を基本とする方針。桃坂靖副校長は「最後は顔を出させてあげたい気持ちもあったが、万が一を考え(感染症法上の位置付けが)5類に引き下げられるまでは用心したい」と話す。44人が卒業する雲仙市立小浜中も「保護者に医療福祉関係者がいる」として全校生徒が着用する。
 一方、新上五島町立有川小(131人)は、出席する全児童が着用しない方向。永田利彦校長は「もう脱マスクが始まるから」と話した。
 東彼波佐見町内の小学校は3校とも、児童間に「椅子1個分」を空け、卒業生は原則マスクを外す。式典に出席する学年を制限する学校は、事前にお別れ会など全校生徒が祝う場を設ける。

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