EV充電器、栃木県内3倍増へ 30年度までに目標500基 空白地帯解消へ助成

 栃木県は2日の県議会農林環境常任委員会で、環境負荷が少ない電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHV)の普及に向けた「充電インフラビジョン」(案)を示した。県内の急速充電器の設置数を2030年度までに現状の3倍となる500基にまで増やす目標を盛り込んだ。県内約30カ所の「空白地域」の解消などに向け、市町や民間業者が設置する場合、費用の一部を助成。交通拠点となる道の駅での設置数も増やす。

 EV、PHVの普及を進め、温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル(CN)」の実現につなげたい考え。

 急速充電器は一般的なEVを、電池残量ゼロの状態から早ければ約30分で8割程度充電できる。ただ、県内では設置数が少なく、EV普及の課題となっていた。県民向けに実施した県のネットアンケート(21年度)では、EV購入の決め手として約2割が「充電設備の整備」を挙げていた。

 不特定多数の人が利用できる公共用の急速充電器は現在、県内に161基ある。一方、15キロ以内の公道に充電器がない空白地域は、交通量の少ない中山間地域などに多く、特に設置が遅れている。

 ビジョンでは、急速充電器を重点的に整備する場所として空白地域と道の駅のほか、ガソリンスタンドやコンビニなどを挙げた。県内25カ所の道の駅のうち22カ所は既に設置済みだが、さらに設置数を増やす。

 23年度当初予算案には1千万円を計上しており、助成は1基あたり200万円を上限とする。

 県内の新車販売台数のうち、EVやPHVの割合は約1%にとどまる。県は25年度までにハイブリッド車を含む電動車の割合を50%に引き上げる目標を掲げており、県環境森林政策課は「充電インフラの充実によって電動車の普及を図りたい」としている。

 

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