「自分がどこまでできるか、証明するために」大井健太郎38歳 初の海外移籍 “真新しい世界”へ

2022シーズンまで、サッカーJリーグジュビロ磐田でプレーしていた静岡県藤枝市出身のベテラン選手が新たな挑戦を始めた。DF大井健太郎(38)。新天地はオーストラリア。なぜ、海外移籍を決断したのか、その裏に隠された思いに迫った。

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38歳での海外移籍を決断した大井健太郎

「ここがフリンダース・ストリート駅。オシャレな駅として有名らしいです。この時計が特徴なのかな?」スマホ片手に日本向けにリポートをするのは、大井健太郎、Jリーグ通算425試合に出場した大ベテランだ。大井はオーストラリア南東部に位置する都市メルボルンに、新たな活躍の場を求めた。

2022シーズン終了後、ジュビロを契約満了で退団した大井は2023年1月、オーストラリア2部のイースタン・ライオンズと契約を結んだ。完全移籍だった。

大井にとって初の海外移籍。南半球のチームの雰囲気を聞くと、こう返ってきた。

「すごくウェルカムな感じだった。僕は英語が苦手な中で移籍したので、よりぼくに分かりやすく説明してくれたり、気を遣って声を掛けてくれる選手が多くいるので、非常に助かっている」

大井が所属するイースタン・ライオンズは、現在オーストラリアの2部リーグ、日本のJ3相当のリーグを舞台に戦っている。ホームグラウンドは練習場を兼ねている。慣れ親しんだヤマハスタジアムとは、スタンドもピッチも、なにもかも違う。ジュビロ退団後、国内のクラブへの移籍も考えたという。しかし、大井は選んだのは、海外のチームだった。

「(ジュビロという)大好きなクラブを離れることになり、それ以外で探した時に、一番としては、海外にチャレンジするには、もう年齢的にもギリギリというか、アウトと思っている人もいるかもしれないが、自分の中では、まだまだ挑戦できると思っていた。その中で、イースタン・ライオンズからオファーをいただいた時に、『昇格したい』という気持ちと監督からの熱意を感じたし、『サッカー選手としてまだまだ終わってないぞ』『成りあがっていけるんだぞ』というところを見せることができたらいいなと思った」

大井のハートには、常に燃えていた。

「こういう素晴らしいチームでプレーできることを自分の糧にして、一日一日を大切にして自分のレベルを上げていきたい」。大井が名門藤枝東高校から、2003年、18歳で地元のジュビロ磐田に入団した時、こう決意を語った。

常に成長を求めてきた大井選手。湘南、新潟を経て、2016シーズンから磐田に復帰。キャプテンマークを巻き、愛するクラブのため、最終ラインで体を張り続けた。喜びも、悲しみも磐田とともにあった。その男が海外クラブの「チームを昇格させたい」という思いに共感し、移籍を決めた。

2月19日の開幕戦ではセンターバックでフル出場。25日のゲームでは移籍後初ゴールを決め、チームの勝利にも貢献した。プロ生活20年、新たな気づきもあった。

「確かに、日本の方がテクニックレベルは高いし、環境や施設も整っていると思う。ただ、1対1でファイトする姿や、試合の勝敗にかける思いとか、勝負強さとか、そういう点では、日本よりレベルは高いと思う」

大井健太郎38歳。真新しい世界で経験を積み、さらなる活躍を誓う。

「自分はサッカーが好きなので、それを仕事としてやっていけるのは、周りの人のサポートがあってのことなので、みなさんに恩返しできるのは、自分がプレーするところを見せること。自分がどこまでできるか、証明するためにも、常に勝利を目指してプレーしたい」

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