長崎県ジェンダー・ギャップ指数 市町議2年連続最下位 教育は27位に上昇 国際女性デー

ジェンダー・ギャップ指数 長崎

 8日の国際女性デーに合わせ、上智大の三浦まり教授らでつくる「地域からジェンダー平等研究会」は、男女平等の度合いを政治、行政、教育、経済の4分野に分けて分析した「都道府県版ジェンダー・ギャップ指数」の試算を公表した。指数は「1」に近いほど平等であることを示し、長崎県は教育が0.564で27位、政治は0.136で32位、経済は0.344で40位、行政は0.211で45位だった。
 指数公表は昨年に続き2回目。指標の一部追加により単純比較はできないものの、本県は前回39位だった教育、政治で順位を上げる一方、経済は12位から大きく転落、行政も35位から下げた。4分野の30指標のうち市区町村議会議員は0.091で、2年連続の全国最下位となった。
 三浦教授は長崎県の状況について「市町議会は『女性ゼロ議会』が二つ減ったが、議員数の指数でワースト。統一地方選でどう上がるのかが注目どころ」と指摘。行政分野でも後退・停滞感が強く、市町、県の取り組みの遅れが「長崎の課題」とした。女性副知事の登用を公約に掲げる大石賢吾知事には「女性副知事は全国でも8県しか誕生していない。ぜひとも任命してほしい」とエールを送った。
 研究会は政府統計などから30指標を選出。スイスのシンクタンク、世界経済フォーラム(WEF)が毎年公表するジェンダー・ギャップ指数とほぼ同様の手法で統計処理した。
 政治分野では、女性と男性の比率による指数は国会議員が0.2、県議は0.15でともに16位。市町議は0.091と低迷し、女性が1人もいない議会が調査時点で4議会あった。
 行政分野では、市町の管理職への女性登用が0.133、審議会委員が0.325で、ともに46位。県は上位の指数もあるが、15位の管理職でも0.155にとどまる。
 教育分野の順位上昇は、大学進学率が0.958で8位となった要素が大きい。ただ、女性の進学率が上がる一方、男性が下がったため格差が縮まったという面もある。校長への女性登用は、小学0.119、中学0.077、高校0.068と低迷している。
 経済分野は7指標のうち4指標の指数が低下。前回2位だったフルタイムの仕事の賃金は0.758で26位。男性の賃金は伸びたが、女性は下がり格差が広がった。三浦教授は「コロナ禍から経済が回復する中、ギャップが広がった可能性がある。働く女性にとって厳しい状況に変化している」と分析した。


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